2016 Fiscal Year Research-status Report
陽イオンチャネルに起因する口腔軟組織疾患の病態生理学的解析
Project/Area Number |
15K11036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若森 実 東北大学, 歯学研究科, 教授 (50222401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 卓史 東北大学, 歯学研究科, 助教 (30455795)
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60226850)
熊本 裕行 東北大学, 歯学研究科, 教授 (70215028)
窪田 寿彦 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80377746) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 亜鉛イオン / パッチクランプ法 / 骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞 / 過分極 / K+チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛はヒトのからだにも微量ながら含まれており、鉄などとともに生体内必須微量元素と呼ばれている。亜鉛は核酸・蛋白・糖・脂質代謝やDNA・RNAの合成に関与する酵素に不可欠で、生体機能に重要な役割を果たしている。亜鉛の90%は骨や筋肉に存在するが、海馬CA3領域のシナプス間隙では活動電位の発生に伴い亜鉛イオン(Zn2+)がシナプス終末から遊離されて、間隙でのZn2+濃度は100 μM以上になる。Zn2+はNMDA受容体やP2X受容体などのイオンチャネルの機能を修飾すると報告されている。従って、本研究では非興奮性細胞である骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞にパッチクランプ法ホールセル法を適用し、イオンチャネルに対するZn2+の効果を検討した。 ホールセル法形成後、膜電流固定法に切り替え細胞の静止膜電位を記録すると-7.7 ± 0.7 mV (n = 25)であった。150 ms 5 pAの過分極電流を0.1 Hzで注入しながら1 mM Zn2+を投与すると、2つのグループに分けられる過分極応答が記録できた。-6.1 ± 0.6 mVの膜電位が膜抵抗の上昇を伴い-14.2 ± 1.1 mV (n = 9)まで過分極したグループと、-8.5 ± 1.1 mVの膜電位が膜抵抗の低下を伴い-64.6 ± 1.3 mV (n = 16)まで過分極したグループに分類できた。後者のグループの細胞を膜電位固定下にランプ波形を用いて電流-電圧関係を記録すると、逆転電位は-69.1 ± 1.3 mV (n = 14)であり、内外液の組成から計算されるK+の平衡電位(= -58 * log (155 / 5) = -86.5 mV)に近い値を示した。従って、細胞外に投与したZn2+がK+チャネルを開口し、膜を過分極させたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔内の非興奮性細胞である骨芽細胞様細胞で味覚障害患者に用いられる亜鉛が過分極を惹起させることを見出し、そのメカニズムを分子生物学的・電気生理学的に解析し、論文投稿したが、現在、リバイス中である。一方、TRPA1チャネルと歯肉増殖症の実験はマウス歯肉線維芽細胞の初代培養系の確立は成功した。しかし、抗てんかん薬とCa2+拮抗薬を用いた初代培養細胞での実験が遅れ気味であるので、「おおむね順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス歯肉線維芽細胞の初代培養細胞で抗てんかん薬(フェニトイン)とCa2+拮抗薬(ニフェジピン)がTRPA1チャネルを介する陽イオン電流を惹起し、コラーゲン産生を増加させるかを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度、TRPA1チャネルと歯肉増殖症の実験はマウス歯肉線維芽細胞の初代培養系の確立は成功した。しかし、抗てんかん薬とCa2+拮抗薬を用いた初代培養細胞での実験が遅れ気味であり、次年度に行う。それに伴い、試薬等の消耗品の購入を行わず、経費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウス歯肉線維芽細胞の初代培養系を用いた実験は次年度に行うため、残額は平成29年度に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Pharmacological properties of SAK3, a novel T-type voltage-gated Ca2+ channel enhancer.2017
Author(s)
Yabuki Y, Matsuo K, Izumi H, Haga H, Yoshida T, Wakamori M, Kakei A, Sakimura K, Fukuda T, Fukunaga K.
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Journal Title
Neuropharmacology
Volume: 117
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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