2015 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーを介した黄色ブドウ球菌排除の分子基盤解明
Project/Area Number |
15K11039
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 佳枝 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (60432663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼松 隆 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (10264053)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細菌排除 / オートファジー / 細菌感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは細胞内へ侵入した細菌の排除において重要な役割を担っている。 我々は、PRIP(PLC-related catalytically inactive protein)が新たなオートファジー調節分子であり、アミノ酸飢餓刺激によるオートファジーを調節するとともに、細胞内へ侵入した黄色ブドウ球菌の増殖はオートファジー系を介して調節されていることを示した(Harada-Hada et al., 2014)。 本研究では、PRIPを介したオートファジーによる細菌増殖調節の分子メカニズムを明らかにするため、サルモネラ菌(Salmonella Typhimurium)感染モデルも同時に用いて検討した。サルモネラ菌を感染させたマウス胎児繊維芽細胞 (MEF)では、細胞内の細菌数・LC3陽性オートファゴソーム様小胞 (SCVs: Salmonella containing vacuoles) 内に含まれる細菌数は、ともにPripノックアウト (Prip-KO) MEF で野生型MEFよりも増加していた。さらに、SCVsのautophagic fluxを測定したところ、Prip-KO MEFで野生型よりもfluxが抑制されていることが分かった。また、Prip-KO細胞では、オートファゴソーム上膜形成時に重要な役割を担うPI3P分子の代謝が変調している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで代表者が取り組んできた黄色ブドウ球菌だけでなく、宿主細胞内でのオートファジーによる排除機構が明らかとなっているサルモネラ菌を用いた実験系を立ち上げ、分子メカニズムを解明しやすい環境になった。今後はオートファゴソーム膜におけるPRIPの機能についてターゲットを絞り、研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
PRIPによってオートファジー系が調節されることにより、黄色ブドウ球菌だけでなくサルモネラ菌も細胞内での増殖が抑制されることが分かった。オートファゴソームとリソソームとの融合過程で機能するSNAREタンパク質とPRIPについて実験を行っていた。しかし、それらとPRIPとの関連は見いだせず、より前の段階であるオートファゴソーム膜形成過程の中において、PRIPが機能する可能性が高いことが分かった。 今後はこれら分子メカニズムを明らかにするとともに、より臨床に近い内容を含んだ分野に研究を展開していきたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度に予定の黄色ブドウ球菌感染実験を一部、サルモネラ菌感染モデルを用いて行うことにより、コストがかかる細胞への遺伝子導入実験を行わず実験をすすめることが出来た。さらに在籍教室にある顕微鏡を使用することが出来たため、学内共同研究施設の利用費を抑えることが出来た。以上の結果より、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな環境で研究を進める必要が生じたので、未使用額はその経費と学内共同研究施設の利用費に使用する計画である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Phospholipase C-related catalytically inactive protein is a new modulator of thermogenesis promoted by β-adrenergic receptors in brown adipocytes2015
Author(s)
Kana Oue, Jun Zhang, Kae Harada-Hada, Satoshi Asano, Yosuke Yamawaki, Masaki Hayashiuchi, Hisako Furusho, Takashi Takata, Masahiro Irifune, Masato Hirata, Takashi Kanematsu
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 291
Pages: 4185-96
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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