2015 Fiscal Year Research-status Report
患者口腔粘膜線維芽細胞を用いた新規遺伝子変異によるゴーシェ病発症メカニズムの解明
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15K11041
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 圭子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (20304537)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゴーシェ病 / 口腔粘膜線維芽細胞 / ハイスループット酵素活性測定系 / 細胞内局在 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性疾患の1つであるゴーシェ病に関わる新規原因遺伝子変異を同定し、その病態発症メカニズムを解明することを目的として、今年度はすでに行っていたゴーシェ患者および家族由来口腔粘膜線維芽細胞を用いたゲノム解析および酵素活性測定結果から、遺伝子候補群のさらなる絞り込みを行うため、データマイニングを継続した。 同時に、原因遺伝子同定の指標となる酵素活性とタンパク質の局在という2つの評価系を整備した。 まず、β-グルコセレブロシダーゼ(GCase)活性を測定するための、ハイスループット測定システムを構築することに努め、その結果、簡便で再現性の良いシステムが構築でき、以降の候補遺伝子や治療薬のスクリーニング等のための準備ができた。次に、GCase酵素活性と密接な関係のある細胞内局在について検討するため、口腔粘膜線維芽細胞でのGCaseタンパク質の蛍光免疫染色の条件検討を行い、オルガネラマーカーとの組み合わせ等を決定することにより、形態学的評価系を整備した。 したがって進捗状況はやや遅れているが、評価系を確立し、慎重なるデータマイニングを行うことにより、未だ不明な点が多く、困難を極めるゴーシェ病の新規遺伝子変異の同定に繋がる環境整備は、着実に進んでいると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプル数が少ないことから、多くの遺伝子多型が存在し、その中から如何に原因遺伝子を抽出してくるかが最大の鍵となる。当初の平成27年度の計画では変異または正常型の遺伝子発現ベクターを構築し、酵素活性を指標にGain-of-functionおよびLoss-of-function により、さらにスクリーニングを行い、新規変異遺伝子の機能解析に進む予定であった。しかし、1000あまりの遺伝子変異群を全て行う前に、昨今の膨大な遺伝子情報からデータマイニングによって、より効率的な絞り込みをかけることが重要であることから、計画通りには進められなかった。その結果、新たに分子間相互作用の情報を取り込むことでより絞り込みをかけているところである。一方で、多遺伝子を同時に扱う必要性も否めないことから、当初の計画案にはなかったが、ハイスループットの酵素活性測定系を先に確立した。また、このとき口腔粘膜線維芽細胞を用いて繰り返し測定を行ったが、継代数が26代に達しても初期の頃と同様の酵素活性を測定することができたことから、酵素活性測定サンプルとして口腔粘膜線維芽細胞は大変扱いやすい材料であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、当初の計画に従い、まずGCase酵素活性を指標に、Gain-of-functionおよびLoss-of-function 実験を行い、GBA以外の新規原因遺伝子変異の同定を行う。同時に、in vitro疾患モデルシステムを確立するため、すでに樹立している健常者のiPS細胞を用いて神経系の細胞分化系を構築し、評価系を確立する。その上で、患者由来iPS細胞を用いて同様の分化実験を行い、その過程、または分化後、負荷をかけたときの脂質代謝等において、ゴーシェ病の表現系が再現できるか、モデル系の構築を試みる。その後はモデル系を用いて、疾患メカニズムの解明および新規治療法の開発にチャレンジしていく予定である。
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Causes of Carryover |
生じた差額が、新規遺伝子変異の同定に必要な分子生物学試薬等を購入するには少額であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の新規遺伝子変異の同定に必要な分子生物学試薬等や、iPS細胞培養用の試薬・プラスチック製品等を購入する際に合算して有効に使用する。
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Research Products
(2 results)