2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11050
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
安原 理佳 昭和大学, 歯学部, 助教 (20453649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 関節軟骨 / 再生医学 / シグナル伝達 / Wnt / ZIP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では亜鉛の代謝異常が骨格成長異常に対する影響について解析を行っている。昨年度は、Cre-loxPシステムを用いた骨・軟骨特異的ZIP10(亜鉛トランスポーター)欠損マウスの作製に着手した。骨および軟骨特異的ZIP10欠損マウスはいずれも出生率が低く、特に骨特異的ZIP10欠損マウスは出生時までに死亡した。骨特異的ZIP10欠損マウス胎生17.5日齢では、四肢の長さの短縮と太さの縮小、頭蓋骨の変形と骨化不全を呈した。また、肩甲骨の形成不全や、肋骨の変形を認めた。軟骨特異的ZIP10欠損マウスは胎生16.5日齢で四肢の短縮がみられ、肩甲骨の形成不全と胸腔の狭小化がみられた。本実験結果は亜鉛およびZIP10が骨格形成に必須であることを示している。亜鉛は高分子タンパク質に結合して種々の代謝に関わることや、ZIPが 亜鉛の細胞内輸送に関与することから、細胞外基質の変化や細胞内シグナルの変化がZIP10欠損マウスでみられた骨軟骨代謝異常を誘導したのではないかと考えられる。本研究成果を学会発表する予定である。今年度はさらに、骨格組織解析やin vitroの細胞実験系を用いて亜鉛誘導剤・阻害剤ならびに、アデノウイルスを用いたZIP10の過剰発現系およびsiRNAの手法を用い、亜鉛シグナルのgain- とloss- of functionについて細胞増殖や細胞死、分化能、骨軟骨形成を誘導する重要なシグナルであるWnt/β-Cateninシグナルと亜鉛との関係を中心に解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の前後はあったが申請時に計画した通り概ね順調に実験を行ってきた。作製マウスの致死が多く見られ、この点に関して多少の解析に苦労した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は、昨年度の結果から異常を認めた骨軟骨形成に関して、その詳細なメカニズムの検討を行う。具体的には、骨格組織解析やin vitroの細胞実験系を用いて亜鉛誘導剤・阻害剤ならびに、アデノウイルスを用いたZIP10の過剰発現系およびsiRNAの手法を用い、亜鉛シグナルのgain- とloss- of functionについて解析する。検討項目については、細胞増殖や細胞死、分化能、骨軟骨形成を誘導する重要なシグナルであるWnt/β-Cateninシグナルと亜鉛との関係を中心に行う予定である。
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Causes of Carryover |
作製マウスの致死が多く見られ、この点に関して多少の解析に苦労した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
骨格の組織解析および、遺伝子変異マウスの網羅的な遺伝子発現解析を行う予定である。
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