2016 Fiscal Year Research-status Report
炎症性疼痛に対する三叉神経節内CCL2/CCL2受容体シグナル伝達系の役割
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15K11058
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
武田 守 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (20227036)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三叉神経節 / ケモカイン / 炎症 / 痛覚過敏 / 免疫組織化学 / パッチクランプ / 逃避反射 / CCL2 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、免疫組織学的解析により得られた結果をもとに、今年度は、炎症性痛覚過敏に関わる三叉神経節(TG)ニューロンの興奮性に対するCCL2の病態生理的役割を明らかとするために、FGで標識された小型TGニューロンの興奮性がCCL2投与により、どのように変調するかについて穿孔ホールセルパッチクランプ法を用いて電気生理学的に正常動物と炎症動物と比較検討した。
正常対象群のTGニューロンは自発放電を持つ細胞は少数であったが、炎症群のTGニューロンは多くの細胞で自発放電発火を示し、その発火頻度も有意に高い値を示した。一方、CCL2投与より正常対照群および炎症群ラットのTGニューロンのスパイク発火頻度は有意に高い値を示した。スパイク誘発の閾値も正常対照群に比べて炎症群ラットで低い値を示した。炎症群は、正常に比べて脱分極性ステップパルス(10-700pA/200ms)により誘発されるスパイク閾膜電位は低く、発火頻度が有意に高い値を示し、これらの変化はCCL2受容体阻害薬により抑制された。一方、電圧固定下において、膜電位の変化、スパイク発火頻度,閾膜電位等へのCCLの関与を明らかとするために電位依存性K電流に対するCCL2 効果を調べた。両者のラットにおいてもCCL投与により、電位依存性K電流抑制されたが、正常対照群に比べて炎症群ラットではその抑制率は有意に高い値を示した。これらの結果より、深部組織炎症時に生じる炎症性痛覚過敏の発現に、神経節内においてパラクリン分泌機構により分泌されたCCL2およびCCL2受容体を介した小型及び中型TGニューロンの興奮性の増強が重要な役割を演ずる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、免疫組織学的解析により得られた結果をもとに、今年度は炎症性痛覚過敏に関わる三叉神経節ニューロンの興奮性に対するCCL2の病態生理的役割を明らかとするために穿孔ホールセルパッチクランプ法を用いて解析を行い成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた結果をもとに今年度は炎症性痛覚過敏に関わる三叉神経節ニューロンの興奮性に対するCCL2の病態生理的役割を明らかとするために、In vivoにおいて侵害刺激に応じるTGニューロンの興奮性が局所的にパラクリン分泌された CCLによりどのように変調するかをマルチバレル電極による微少電気泳動法を用いて確認し炎症動物と比較解析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画書に記載されている電気生理学的実験が順調に進み、当初予定していた動物数よりも少ない数において実験成果が得られたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度予定している細胞外記録の実験に使用する動物、試薬、備品に充当する予定である。
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