2015 Fiscal Year Research-status Report
胎仔マウス唾液腺の組織間をまたいで展開するRNAネットワークの探索
Project/Area Number |
15K11060
|
Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
柏俣 正典 朝日大学, 歯学部, 教授 (30152630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 徹 朝日大学, 歯学部, 助教 (10454266)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | マイクロRNA / 組織間相互作用 / 偽遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの予備研究により、胎仔マウス唾液腺の組織間において、マイクロRNAが輸送されることが示唆された。マイクロRNAは一本鎖の短鎖ノンコーディングRNA(ncRNA)である。一般にメッセンジャーRNA (mRNA) を標的とし、その分解を促進あるいは翻訳を抑制することが分かっている。近年、mRNAのみならず偽遺伝子もマイクロRNAの標的となりうることが示された。偽遺伝子とは、mRNAと非常に似た塩基配列を持ちながら、機能的なタンパク質が作られない転写産物である。偽遺伝子にマイクロRNAの結合する塩基配列が保存されている場合、マイクロRNAの「受け手」として機能しうると考えられる。従って、その分、mRNAがマイクロRNAによる抑制から免れやすくなる。つまり、マイクロRNA、mRNA、偽遺伝子といったRNAらがお互いを調節するネットワークとも言える。本研究では、唾液腺の組織間でマイクロRNAが輸送されるなら、そこには何らかのRNAネットワークがあると仮定し、その存在を明らかにすることを目的にした。まず、唾液腺をある薬剤で処理したところ組織間におけるマイクロRNAの輸送が抑制されることが示唆された。よって、輸送先の組織にてマイクロRNAの標的となる転写産物(mRNAあるいは偽遺伝子)の発現レベルが上昇することが考えられた。そのような転写産物を見つけるため、輸送先の組織を分離し、現在までに次世代シーケンス解析を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロRNA輸送を阻害した組織について網羅的に転写産物を解析することで、ネットワークを構成するRNAを効率的に探せるものと考えられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンス解析の結果にもよるが、まずは発現レベルの変動が見られた偽遺伝子に着目したい。またマイクロRNA輸送をより調節できるような実験系の確立も目指す。
|
Causes of Carryover |
次世代シーケンスの実施と解析は外部業者に委託した。試料が用意出来たのが平成27年度末であり、解析結果が納品されるのは平成28年度の6月頃と予定されている。したがってその支払いが平成28年度となるため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額は、ほぼ全て次世代シーケンス解析の支払いに充てられる。
|