2016 Fiscal Year Research-status Report
歯原性上皮の腫瘍化に関わる幹細胞性維持と骨内微小環境との相互作用の解析
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15K11066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊本 裕行 東北大学, 歯学研究科, 教授 (70215028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 良央 東北大学, 歯学研究科, 助教 (30302152)
及川 麻理子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00712902)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯原性腫瘍 / 腫瘍発生 / 骨内進展 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯原性上皮の腫瘍化や骨内微小環境での進展に影響すると考えられる細胞内増殖シグナル伝達分子について検索した。
1.方法:エナメル上皮腫47例(充実性36例(濾胞型19例、叢状型17例)、単嚢胞性11例)、対象として歯嚢10例に対し、BRAF、V600E変異BRAF、pERK、pAkt、pmTOR、pSTAT3を免疫組織化学で、またBRAF V600Eの遺伝子変異をDNAシークエンス法で検討した。 2.結果:免疫組織化学的に、BRAF、pERK、pAkt、pmTOR、pSTAT3は歯嚢の歯堤上皮、エナメル上皮腫の腫瘍細胞の細胞質に発現を示し、一部では核での発現もみられらた。エナメル上皮腫でのこれらの分子の発現は歯嚢より有意に高かった。V600E変異BRAFは、エナメル上皮腫でのみ発現が認められ、充実性エナメル上皮腫におけるV600E変異BRAFの発現は単嚢胞型性ナメル上皮腫に比べ有意に高く観察された。BRAF V600E遺伝子変異はエナメル上皮腫で検索できた24例中18例(75%)で認められ、これらの変異症例はすべて免疫組織化学的にV600E変異BRAF陽性を示した。 3.考察:エナメル上皮腫における3つの細胞内増殖シグナル経路の活性化やBRAF遺伝子変異は腫瘍の発生・増殖に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨内微小環境内での歯原性腫瘍の発症や骨内進展に関するシグナル伝達分子の状況をあきらかにでき、興味深い結果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
歯原性腫瘍の骨内微小環境での新規血管新生分子や幹細胞関連分子、シグナル伝達分子について、種々の検索を進めている。また、腫瘍発生や腫瘍細胞分化に関わる分子の網羅的解析についても検討を進めている。
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Research Products
(14 results)