2016 Fiscal Year Research-status Report
高b値拡散強調MRIを用いた細胞評価に基づく頭頸部腫瘍診断法の確立
Project/Area Number |
15K11078
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
角 美佐 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (90284702)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30172406)
佐々木 美穂 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (10437874)
高木 幸則 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30295084)
榮田 智 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80325662)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 拡散強調MRI / 高b値DWI |
Outline of Annual Research Achievements |
拡散強調MRI(Diffusion-weighted MR imaging, DWI)は、水分子の拡散の速さの違いを画像化する。その画像のコントラストは傾斜磁場の大きさを表すb値によって異なり、b値を高く設定すると、細胞質や細胞膜内または細胞間隙において、自由な動きを制限された遅い水分子の動きが画像化の対象となると考えられている。したがって高b値を使用したDWIでは、従来の画像では得られなかった細胞のミクロな構造に関する情報を私たちに提供し、MRI診断に新しい可能性を開いてくれるはずである。 本研究では、高b値DWIが生体のどのような構造を反映しているのかを、in vitro DWIモデルを使って解明した上で、頭頸部腫瘍診断における有用性について検討し、細胞評価に基づく新しい腫瘍診断法の確立を目指す。 平成28年度では 1)高b値DWIで得られる情報が、細胞のどのような構造を反映しているのか明らかにするため、種類の異なる培養細胞に対して高b値DWIを行い得られた結果と、細胞の微細構造について比較検討した。 その結果、高b値で得られる拡散係数Dslowは、細胞密度が高いほど、細胞質が小さいほど低くなった。 2)様々な頭頸部腫瘍患者に対して高b値DWIを行い、得られる様々なパラメータと病理組織との比較検討を行っている。これまで私達を含め多くの研究者が0~1000s/mm2の低~中b値DWIを使用して得られるパラメータを用いてきたが、本研究では高b値DWIを使用することにより、新しい知見を得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro DWIの研究を28年度内に完全に終了して、実際の頭頸部腫瘍患者のDWIの研究に入る予定であったが、充分な患者数の確保のために、頭頸部腫瘍患者のDWI研究の開始時期を早め、in vitro DWIの研究と並行して行うこととした。このため、28年度に、頭頸部腫瘍患者のDWIの研究に従事する時間が増え、その分、In vitro DWIに従事する時間が減り、29年度にもin vitro DWIを行うこととなったが、全体から見ると、それぞれの研究の進度は概ね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究に基づく新しい腫瘍診断法の確立を目指す。 現時点ではまだ実際の症例数が充分でないため、さらに頭頸部腫瘍患者に対して高b値DWIを行い、画像解析および病理組織学的解析を進め、論文にまとめて発表する予定である。
|
Causes of Carryover |
in vitro DWIの研究を28年度内に完全に終了して、頭頸部腫瘍患者のDWIの研究に入る予定であったが、充分な患者数の確保のために、頭頸部腫瘍患者のDWI研究の開始時期を早め、in vitro DWIの研究と並行して行うこととした。このため、28年度にin vitro DWIの研究に従事できる時間が減り、29年度までin vitro DWIの研究を継続することになった。したがって、28年度にin vitro DWIのために使用した額が減ったが、これを29年度のin vitro DWIで使用する予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に、in vitro DWIの研究で必要となる細胞株、細胞培地、培養用器具、薬剤等に使用する予定である。
|