2016 Fiscal Year Research-status Report
口腔領域マクロファージにおける小胞体ストレスシグナルを介した炎症病態機構の解明
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15K11080
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
門脇 寿枝 宮崎大学, 医学部, 助教 (40568200)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 炎症 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体タンパク質の品質管理は厳密に制御されており、小胞体不良タンパク質の蓄積は、小胞体シャペロンの発現誘導、タンパク質翻訳停止、小胞体関連分解(ERAD)により減弱され、細胞は生存できる。しかし、これらの小胞体品質管理機構が破綻すると、小胞体不良タンパク質が過度に蓄積し、小胞体ストレス誘導性アポトーシスが惹起される。 小胞体ストレスと炎症に関して、炎症組織ではサイトカインや分泌因子の産生が亢進しており、細胞は小胞体のタンパク質産生能力を高めるために、小胞体ストレスシグナルを活性化すると考えられる。このように急性炎症においてマクロファージは生存のために小胞体ストレス応答を活用し、一方で慢性炎症においては持続的で過度な刺激が小胞体ストレスを介したアポトーシスに繋がると考えられる。本研究では、マクロファージの分化・機能・アポトーシスの分子機構を、小胞体ストレスシグナルの観点からアプローチすることで炎症性疾患の緩解に向けた新規分子機構の発見を目指す。 具体的には、①単球からマクロファージへの分化段階、②起炎に伴う炎症組織への遊走、③Fc受容体やレクチン活性依存的な標的認識と貪食作用、④サイトカイン産生によるTリンパ球の活性化と抗原提示、⑤慢性炎症組織でのマクロファージアポトーシスなど、マクロファージの一生における小胞体ストレスシグナルの関与を検討し、その分子機構を明らかにする。昨年度までに培養マクロファージを用いて上記①-⑤における小胞体ストレスの関与を検討した。当該年度は、小胞体ストレス受容体IRE1、ERAD関連分子Derlin-1、アポトーシス実行因子ASK1のKO・KDマクロファージを用いて、これらの必要性を検討した。さらに生理的検証として、KOマウスを用いて表皮や口腔粘膜創傷治癒および頬嚢部粘膜口内炎モデル実験による評価を行うための口腔粘膜疾患モデルを考案中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は単球細胞や初代培養マクロファージを用いて、炎症と小胞体ストレスシグナルの関係を検討することを目的とし、実際にこれらの細胞において小胞体ストレス受容体IRE1やERAD関連分子Derlin-1のノックダウンや小胞体ストレス誘導性アポトーシス実行因子ASK1のノックダウンを行うことで、マクロファージへの分化や貪食作用、アポトーシスにおける必要性などについて調べることができた。さらに、これらの細胞を用いた解析結果の生理的検証として、表皮や口腔粘膜創傷治癒モデル実験や頬嚢部粘膜口内炎モデル実験などによる個体レベルでの評価を行うために、口腔粘膜疾患モデルの準備をすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、表皮や口腔粘膜創傷治癒モデル実験や頬嚢部粘膜口内炎モデル実験などによる個体レベルでの評価を行うために、現在考案中の口腔粘膜疾患モデルを確立し、細胞で得られた解析結果が再現されるか検証する。さらに小胞体ストレス寛解低分子化合物のスクリーニングを実施し、既に獲得しているASK1阻害剤と併せて、口腔粘膜疾患モデルでの効果検証を検討する。 これらのin vitro・in vivo解析により、小胞体ストレスシグナルを介したマクロファージの分化・機能・アポトーシス制御の分子メカニズムを明らかにし、口腔粘膜炎症性疾患の克服に繋げることを目標とする。
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Research Products
(4 results)