2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11084
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
片岡 嗣雄 昭和大学, 歯学部, 助教 (60451390)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 免疫 / 常在細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、食物アレルギーモデルマウスを作製し、その腸内細菌叢の構成を解析して、食物アレルギーで増加する腸内細菌の菌種を同定した。 まず、卵白アルブミン(OVA)を抗原として、アジュバントの水酸化アルミニウムゲルと混合して、近交系マウス(BALB/c 、 7週齢雌、体重20g)に腹腔内投与することで食物アレルギーモデルマウスを作製した。この際、OVAを0.002mg/匹で腹腔内投与し、その一週間後に再び等量のOVAを同様に投与して感作した。そして、感作の一週間後から10mg/匹のOVAを1日おきに4回経口投与した後、さらに一週間おいて50mg/匹のOVAを経口投与して食物アレルギーを誘導した。食物アレルギーの成立は、血清中の抗OVA-IgE抗体価をELISA法により測定して評価し、食物アレルギー症状は、OVA経口投与直後の直腸温で評価した。 次に、作製した食物アレルギーモデルマウスならびにコントロール群マウスの糞便を採取してリン酸緩衝生理食塩水に懸濁し、コロンビア5%ヒツジ血液寒天平板上で培養した。それらの寒天平板上に出来たコロニーをMALDI-ToF-MS法(バイテックMS使用)で解析したところ、食物アレルギーモデルマウスから採取したサンプルでCitrobacter amalonaticusが顕著に増加していた。上記の方法では糞便中の生きた細菌のみを解析することになるので、Citrobacter amalonaticusは食物アレルギーを発症したマウスの腸内で増殖したものと考えられる。現在我々は、上記サンプルのコロニーを単離して得た培養液でマウス細胞株(NIH-3T3、colon26)を刺激し、そのサイトカイン産生などを解析することで、Citrobacter amalonaticusの病原性を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食物アレルギーにおいて顕著に増加する腸内細菌は同定できたが、口腔内細菌の同定には至っていない。実験は、滅菌綿棒を用いて食物アレルギーマウスならびにコントロール群マウスの口腔内を拭い、それを懸濁したリン酸緩衝生理食塩水をコロンビア5%ヒツジ血液寒天平板に播いて、それらの寒天平板上に出来たコロニーをMALDI-ToF-MS法(バイテックMS使用)で解析する方法で行ったが、データベースに該当する菌種が無く同定できなかった。今後はこれらの懸濁液をサンプルとして次世代シーケンサーを用いた解析も行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず、食物アレルギーの発症が腸管においてCitrobacter amalonaticusを増殖させる原因を調べるため、腸管粘膜固有層のT細胞サブセットを偏らせたモデルマウスを作製する。このモデルマウスの糞便中の細菌をMALDI-ToF-MS法で解析し、Citrobacter amalonaticusの増減を調べることで、食物アレルギーによるTh2応答亢進とCitrobacter amalonaticus増加の関連性を明らかにする。 また、口腔内細菌の経口投与による腸内細菌叢の変化と、それが食物アレルギーの感作ならびに症状に及ぼす効果も調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、食物アレルギーモデルマウスを確立する条件設定に時間がかかった。同じマウスに条件を変えて複数回のOVA投与を行い、食物アレルギーの感作と誘導を確実に起こせる実験条件を探したため、使用したマウスの匹数が21匹と当初予定していた42匹の半数しか使用しなかった。そのことで全体的なサンプル数も減少して使用金額が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、マウスの匹数を増やすだけでなく、腸管におけるT細胞の分化と分布が異なる2系統のマウスを用いて食物アレルギーモデルマウスを作製することで、データの信頼度を高めていく。また、MALDI-ToF-MS法では同定できなかったマウス口腔内細菌を、次世代シーケンサーを使用して調べていく予定である。
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