2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K11084
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
片岡 嗣雄 昭和大学, 歯学部, 助教 (60451390)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 常在細菌叢 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、食物アレルギーモデルマウスの糞便中で顕著に増加していた菌種であるCitrobacter属を、マウスに経口感染させるとアレルギー症状にどのような影響が出るかを明らかにした。まず、昨年度に作製した食物アレルギーモデルマウス群にCitrobacter koseri標準株(JCM1658)を経口投与し、その後、アレルゲンである卵白アルブミン(OVA)を経口投与してアレルギー症状の変化を調べた。すると、Citrobacter koseri標準株を経口投与したマウスは、投与していないマウスよりもOVA経口投与後の直腸温が有意に低下していた。この結果から、Citrobacter属細菌は、腸内で食物アレルギー症状を増悪させる作用を持つことが示唆された。また、このCitrobacter koseri標準株を食物アレルギーモデルマウス群ならびにコントロールマウス群に経口投与し、この両群のマウスから採取した糞便中の細菌を解析したところ、アレルギー群マウスではCitrobacter koseriが腸内から排除されず長期間残留していた。以上の事から、食物アレルギーによって腸内に残留しやすくなったCitrobacter属細菌 が、食物アレルギー症状を増悪させている可能性が示唆された。以上の結果は、2017年12月に開催された第46回日本免疫学会・学術集会で発表した。現在は、Citrobacter属をマウスに経口投与すると腸管粘膜のT細胞サブセットにどのような変化が出るか、それが食物アレルギー症状にどのような影響を及ぼすかを調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食物アレルギー症状の増悪に関与する腸内細菌を同定し、その病原性について検討が進んでいる。今後は口腔内細菌の経口投与が、腸内細菌叢の構成や腸管粘膜における免疫応答に及ぼす影響を調べて、食物アレルギーに対する口腔内細菌の効果について明らかにしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず、Citrobacter属細菌が腸管の免疫応答に及ぼす影響を調べるため、Citrobacter属細菌を経口投与した食物アレルギーモデルマウスならびにコントロールマウスのIL-33産生と、腸管粘膜固有層のT細胞のサブセットを解析する。その結果を非感染マウスと比較して、Citrobacter属細菌が食物アレルギーに及ぼす影響を明らかにする。また、口腔内細菌の経口投与による腸内細菌叢の変化と腸管における免疫応答の変化、そしてそれが食物アレルギーの症状に及ぼす効果も調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度は、一定数の食物アレルギーモデルマウスにCitrobacter属細菌を継続的に経口投与することによって腸内細菌叢がどのように変化するかを長期間にわたって追跡調査したため、最終的なマウスの使用匹数が当初の予定より大幅に少なくなった。また、同じ一群のマウスを使用して実験条件を探すことに時間を費やしたため、購入匹数が減り、使用金額も少なくなった。 (使用計画)本年度は、複数のグループの食物アレルギーモデルマウスを作製し、複数種の口腔内細菌を一種類ずつ、それぞれのグループのマウスに経口投与して、これらのマウスの腸内細菌叢の変化や、T細胞サブセットや組織中のサイトカイン産生の変化など腸管での免疫応答の変化を調べていく。このようにして収集したデータによって、食物アレルギーと腸内細菌ならびに口腔内細菌の関連を明らかにしていく予定である。
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