2015 Fiscal Year Research-status Report
オーダーメイド歯髄選択血流計を試作し、血流検出に基づく新しい歯髄診断法を確立する
Project/Area Number |
15K11102
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井川 資英 東北大学, 大学病院, 助教 (80176065)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 歯髄 / 血流 / ヒト / レーザードップラー / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ドップラーシフト解析システムを併用したオーダーメイド高感度歯髄選択血流計を試作し、これを用いた歯髄血流測定と従来の歯髄診査法との比較検討を行い、血流検出を基準とした新しい無痛歯髄診査法を確立しようとするものである。私は既に、歯髄血流が低流速であり、低流速血流計が歯髄血流測定で有用であること、そうした低流速に個体差があることも併せて報告している(Qu,Ikawaら、2014)。従って、最適な測定仕様での測定を行うためには、対象となる個人に応じて測定レンジを可変できるシステム、すなわちオーダーメイド高感度歯髄選択血流計を開発することが、今後の研究発展に期待されている。 本年度の研究は「オーダーメイド高感度歯髄選択血流計の試作と歯髄血流モデルでの測定」を予定した。そのためには、まず「測定対象に適合したオーダーメイド高感度歯髄選択血流計」を試作する必要があった。個々の歯髄に適した血流計であるためには、はじめに歯髄血流速度(すなわちドップラーシフトによって生じる周波数帯域とそのパワー)を把握しなければならない。歯髄に照射したレーザー光を検出後に、得られるドップラーシフトのパワースペクトルを回帰分析し(Kashima,1994)、その周波数帯域の上限(カットオフ周波数:COF)をリアルタイムで演算し求める。私は既にoff-line で歯髄その他の組織のカットオフ周波数を提示している(Qu,Ikawaら、2014)が、今回の研究ではそれをリアルタイムで自動演算するシステムを開発導入する。次いで、決定されたカットオフ周波数対域内のみでの演算を行う血流測定システムを試作する。これには演算周波数を可変としたデジタル血流測定システムが必要であるが、その実現可能性を確認済みである(井川、未発表データ)。以上の二つのシステムを一つにビルドインしたものを高感度歯髄選択血流計とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究予定は、まず「測定対象に適合したオーダーメイド高感度歯髄選択血流計」を試作することであった。個々の歯髄に適した血流計であるためには、まず歯髄血流似よって生じるドップラーシフトを把握しなければならない。歯髄に照射したレーザー光を検出後に、得られるドップラーシフトのパワースペクトルを回帰分析し、カットオフ周波数(COF)をリアルタイムで演算し求める必要が有る。本年度は、デジタル血流計とドップラーシフトパワースペクトラムの二つのシステムを一つにビルドインした高感度歯髄選択血流計を既に試作した。ただし、パワースペクトラムをリアルタイムで自動演算し、COF帯域内のみでの演算を行う血流測定システムの完成には至っておらず、目視でのCOF決定が可能なレベルである。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に大きな変更は必要ないと考えられるので、平成27年度に行った研究を基本的に継続して行う。すなわち、「測定対象に適合したオーダーメイド高感度歯髄選択血流計」の改良を行い、COFをリアルタイムで演算し、COF内のみでの演算を行う血流測定システムを完成させる。次いで、実際のヒト歯髄を対象として測定を行ない、従来からの歯髄臨床診断との比較を行い、歯髄診断への応用の可能性を探る。
|
Causes of Carryover |
「カットオフ周波数演算システム」および「光フィルター付き歯髄血流 測定専用プローブ」が未購入であるためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記未購入物品のうち「カットオフ周波数演算システム」について、現在測定を繰り返し結果を分析しながら、その機能を確認しつつある段階である。十分な機能を確認の上、購入予定である。また「光フィルター付き歯髄血流 測定専用プローブ」は前記のシステム完成後に購入予定である。
|