2015 Fiscal Year Research-status Report
カテプシンK阻害による根尖病変の炎症および骨吸収抑制機構の解明と臨床応用への期待
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15K11106
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 規元 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20372451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 伸之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60272605)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 根尖性歯周炎 / カテプシンK |
Outline of Annual Research Achievements |
根尖性歯周炎は、根尖歯周組織に生じる炎症性骨吸収性疾患であるが、その病態の判定は困難であり、慢性化すると難治性となることも少なくない。一方、カテプシンK阻害剤は、骨吸収抑制作用のみならず抗炎症作用をもつことが報告されており、根尖性歯周炎に対しても効果をもつ可能性が期待できる。本年度は、ラット実験的根尖性歯周炎の進展におけるカテプシンK阻害剤(NC-2300)の経口投与による抑制効果を検討した。この研究は、前年度より継続して行っているものであり、本年度はこれまでの研究結果をさらに捕捉する研究を行った。 ラット下顎第一臼歯を露髄後、抜髄し、口腔内に開放することにより根尖性歯周炎を誘発した。実験群では、露髄開放時よりNC-2300(150 mg/kg)を1日2回経口投与した。21日後に屠殺して下顎臼歯を周囲の顎骨ごと摘出し、左側はマイクロCT撮影により根尖病変の大きさを測定した後、組織学的に検討した。右側は、根尖周囲の病変部を根尖とともに一塊として摘出し、RNA抽出後、リアルタイムPCRにて起炎症性サイトカイン(IL-1α, IL-6)の発現量を測定した。 根尖病変の大きさをマイクロCTにより評価した結果、NC-2300投与群における根尖病変の大きさはコントロール群と比較して小さかった。また、組織学的に検討した結果、NC-2300群における破骨細胞の数は、コントロール群に比べて少ない傾向にあった。病変中の炎症性サイトカイン発現を比較したところ、NC-2300投与群においてはIL-1αおよびIL-6の発現が有意に抑制されていた。 以上より、NC-2300の投与によって、破骨細胞におけるカテプシンK阻害作用による骨吸収抑制に加えて、炎症性サイトカインの発現が減少することにより破骨細胞形成が抑制され、その結果として根尖周囲の骨吸収が抑制された可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、前年度から継続して行っている研究のデータを捕捉することにより、本年度の研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、検索するサイトカイン等の種類を増やすこと、in vitroでの検証を行うことにより、現象のメカニズムをより解明するための研究を行っていく予定である。可能であれば、局所投与の可能性を探っていきたい。 ただし、研究代表者が所属機関を異動したため、研究環境の整備にしばらく時間がかかると思われる。
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Causes of Carryover |
本年度の研究は前年度まで行ってきた研究の捕捉とまとめを主に行い、新たな物品購入の必要性が低かったため。また研究代表者が学会発表を行わず、旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度は実施計画に基づく新たな研究を行う予定のため、請求した助成金を使用する予定である。ただし、研究代表者が所属機関を異動したため、研究環境の整備にしばらく時間がかかると思われる。
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Research Products
(4 results)