2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K11113
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大原 直子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80301365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10201071)
大原 直也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70223930)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 根面う蝕 / う蝕誘発モデル / う蝕細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Actinomyces naeslundii ATCC 12104、A. viscosus ATCC 15987、A. israelii ATCC 12102に着目し、バイオフィルム形成能および酸産生能についての研究を行った。 まずバイオフィルム形成能を検討するため、フィブロネクチンあるいはポリ-D-リジン(PDL)でコートされた面で培養し菌の接着および増殖を比較したところ、すべての菌で非コート面と比較して菌の接着性向上が認められた。フィブロネクチンとポリ-D-リジン(PDL)の比較では、フィブロネクチンのコート面の方が菌の接着が強く認められた。菌種の比較では、どちらのコート面に対してもA. israeliiの接着が最も低かった。 酸産生能に対する検討として、培地中に5%グルコースを添加し、培養液あるいは上記のコート面に形成されたバイオフィルム表面でのpHを測定した。いずれの菌においても培養液およびバイオフィルム表面のpHの低下を認めたが、A. israeliiで低下が顕著であった。グルコースの添加の有無の比較では、A. viscosusのフィブロネクチン上のバイオフィルム表面のpH低下が著明であった。また、グルコース非添加の培地では、A. naeslundii、A. viscosusは菌塊としてコート面に付着する傾向が認められたが、グルコース添加培地では、菌塊としてではなく菌が薄膜状で付着したことから、培養液中の糖の存在菌の付着能に影響を及ぼしている可能性が示唆された。さらに、今回のA. israeliiのバイオフィルム形成能および酸産生能における結果は、以前の我々の根面う蝕モデル作製実験でA. israeliiは歯面付着能が低いにもかかわらず歯面に最も顕著な凹みを形成した事象と一致する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、A. naeslundii、A. viscosus、A. israeliiに着目し、バイオフィルム形成能および酸産生能についての研究を行った。根面う蝕誘発モデルの構築および根面う蝕進行のメカニズムを解明につながる重要なデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
根面う蝕誘発モデル作成にあたり、Actinomyces属の歯面付着、象牙質侵入、酸産生に関わる遺伝子の検討を行う。 in vitroの系での根面う蝕誘発モデルを用い、根面う蝕の進行を抑制する方法を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の予定より研究に関する物品費が少なくて済んだことと、根面う蝕モデルの解析費用として予定していた額を次年度にまわすことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度ではすべての研究計画を遂行する予定である。従って平成28年度までの予算をすべて執行する。
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