2016 Fiscal Year Research-status Report
光合成モデルのバイオインスパイアード材料を接着強化に用いる破折歯根の保存再生
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15K11119
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平 曜輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40226725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 幸治 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60264256)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯質 / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の破折が歯周病とウ蝕に次いで3番目に多い抜歯の原因であること、さらに超高齢社会において高齢者ほど失活歯が多く存在することを合わせて考えると、破折歯を抜歯しないで済む治療法の確立は急務である。そのためには、歯質、特に象牙質に対するレジン系材料の強力な接着が欠かせない。本研究では、光合成を司る電子伝達系をモデルとして、電子伝達体やその誘導体を歯面処理に応用することによって、レジンの象牙質接着性改善を図り、さらにそのメカニズムを明らかにすることを目的としている。 本年度は、前年度の研究結果を受けて、あるクロロフィリン複合体(TCN)に着目し、TCNと2-ヒドロキシエチルメタクリレートを含有する水溶性のプライマーを試作した。抜歯されたヒト大臼歯の象牙質表面を研削し、リン酸水溶液でエッチングし、続いて試作プライマーを塗布した。またコントロールとして、従来の表面処理法にしたがい、象牙質をクエン酸と塩化第二鉄の水溶液でエッチングした象牙質試料も準備した。表面処理した象牙質とレジン硬化体を化学重合型接着性レジンセメント(4-META/MMA-TBBレジン)を用いて接着し、微小引張り接着強さを求めた結果、象牙質をリン酸エッチングし試作プライマーを塗布することによって、クエン酸と塩化第二鉄の水溶液を用いた従来の表面処理の場合と同等の初期接着強さが得られ、次の研究につながる知見となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的と研究実施計画にほぼ沿って実験を行った結果、次年度の研究につながる知見が得られたから。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究実施計画に基づいて研究を行うとともに、必要な場合は研究目的を逸脱しないよう配慮しつつ、実験方法を適宜修正して、今後の研究を推進する。
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Causes of Carryover |
物品の値引きによって、次年度以降使用可能な金額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な物品の購入費、当該研究に必要な情報収集や学会発表のための旅費、その他論文や学会抄録作成のための経費等に使用する計画である。
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