2015 Fiscal Year Research-status Report
光機能化二酸化チタンとオゾン水の併用による安全で効果的な漂白方法の開発
Project/Area Number |
15K11123
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
河野 舞 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (90586926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10301011)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯学 / 漂白 / 二酸化チタン / 光機能化 / オゾン水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二酸化チタンに複合波長の紫外線を照射してから、有機物質を酸化分解することが可能であるとされているオゾン水と反応させた場合、過酸化水素水を用いた従来の漂白法と同程度の漂白効果と安全性を得られるという仮説のもとに研究を企画し、基礎的研究を行うものである。 初年度は、0.1 g濃度のヘマトポルフィリンエタノール水溶液を作成してろ紙に染みこませ、乾燥させたものを変色モデルとし、測色による漂白効果の評価を行った。アナターゼ型二酸化チタン粉末(ST-01, 石原産業)を1 g採取し、漂白前処理としてトランスイルミネーター(UV Hand Lamps, USA)を用い365 nm光源を照射した。照射時間は(5, 10, 15, 20)分とした。前処理後オゾン水と混和し、トランスイルミネーターを用いて365 nm光源、またはG-LightPrimaⅡPlusを用いて400±10 nm光源で、光照射を2分間行った。また、前処理としての紫外線照射を行わないものを対照群とした。さらに、前処理後に水と混和したもので、同様の実験を行い、比較検討を行うこととした。漂白前後の色調の測定は、分光色差計(NF-333, 日本電飾工業)を用いてL*a*b*値を求め、色差ΔE*abを算出し、色の変化および漂白効果を判定した。 前処理後にオゾン水と混和した場合、色差ΔE*ab値は前処理時間が5・10分間と長くなるにつれ、対照群と比較して増加する傾向が認められた。15分間以上になると減少する傾向が認められた。前処理後に水と混和した場合、色差ΔE*ab値は前処理時間が5・10・15分間と長くなるにつれ、対照群と比較して増加する傾向が認められた。20分間以上になると減少する傾向が認められた。また、光照射器の比較検討では、365 nm光源を照射したほうが両者において色差ΔE*ab値が高い傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
漂白効果の評価として、ヒト抜去歯の着色モデルを用いて評価を行う予定であったが、研究期間中に測色可能な大きさの抜去歯を一定量集めることが困難であり、漂白効果を測定することができなかった。また、ヘマトポルフィリン紙を用いた変色モデルに関する研究結果の数値にはバラツキが認められた。研究期間中の室内の温度変化や、期間中に研究室の工事が行われ、光源の変更も含めた環境の変化も若干関与していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの実験結果より、前処理として5分から10分間紫外線照射を行った後にオゾン水と混和させると、対照群と比較して漂白効果が得られることが示唆された。さらに、水と混和させた場合と比較すると、漂白効果が得られるのに前処理時間が短縮されることが示唆された。しかし、ヘマトポルフィリン紙を用いた変色モデルに関する研究結果の数値にはバラツキが認められることから、今後全体数を増やし、研究を進める必要があると思われる。また、ヒト抜去歯牙を収集し漂白前後の色調変化を比較検討するとともに、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて漂白前後のエナメル質表面の形態変化を観察する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究に関する学会発表に費用がかからず、さらに予備実験に時間がかかってしまったことにより実験器具の購入に至らず、使用額に変更が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定されている細菌を用いた実験器具一式や恒温器を購入する予定である。また、オゾン水で一定の漂白効果が得られない場合は、電解水への変更や、光触媒作用発現のための光源の変更も視野にいれて検討を行う必要があるため、今年度の残高と合算して購入する予定である。
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Research Products
(1 results)