2016 Fiscal Year Research-status Report
TTCP/DCPAリン酸カルシウムセメントによる象牙質のコーティング効果
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15K11132
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| Research Institution | Nihon University |
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Principal Investigator |
平山 聡司 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70189869)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 啓寿 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (10453888)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | リン酸カルシウムセメント / レジンコーティング / アクリル系レジン / 象牙質封鎖能 / 石灰化誘導能 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究内容：TTCP/DCPAリン酸カルシウムセメント（以下、CPC)をアクリル系充填用レジンに含有させて、象牙質接着性と石灰化誘導能を具備するレジンコーティング材の開発を行った。
材料と方法：アクリル系充填用レジンとしてボンドフィルSB（サンメディカル社、以下SB）を用いて、SB粉末にCPCを０（SB-0,コントロール）、20（SB-20)、40（SB-40)、60（SB-60)及び80wt%（SB-80)添加させた粉末を実験試料とした。製造者指示に従って各試料を重合溶液（ボンドフィルSB液材：キャタリスト＝3滴：1滴）と練和または筆積み法にて実験試料を作製した。①硬化時間は重合熱のピーク時間（DSC法）により測定した。②曲げ強さは3点曲げ試験により測定した。③象牙質に対する接着強さは、#180まで研磨したウシ抜去象牙質及に対する引張り強さを測定した。さらに④引張り強さ測定後の破断面の走査型電子顕微鏡（SEM）観察から石灰化物形成誘導能の評価を行った。
結果と考察：硬化時間は、SB-0の4.1分に比べSB-20、SB-40で3.8～4.9分とほぼ同程度であったが、SB-60以上では5.9分以上に延長した。曲げ強さは、SB-0の65.5MPaに比べSB-20で49.7MPaを示しCPC添加率の上昇に伴い低下した。ウシ象牙質に対する接着強さは、SB-0で10.8MPaに比べSB-20で7.7MPaであったが、CPC添加率の上昇に伴い低下しSB-60で6.1MPaとSB-0に比べ43.4％接着強さが低下した。水中浸漬24時間後の引張り接着強さ試料破断面にSEM観察からCPCを添加させた試料でハイドロキシアパタイト様の析出物が観察された。
以上の結果から、レジンコーティング材としてアクリルレジンへのCPC添加量は、物性と象牙質接着性を考慮して20wt％程度が適切であると思われる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
以下の理由によって実験計画の進捗に遅れを来している。
①本実験計画で使用するTCP/DCPAリン酸カルシウムセメントと比較検討する目的で、もう一つの実験材料としてTTCPとα-TCPからなる新規均一二相性リン酸カルシウムセメントと練和溶液の開発を昨年度から取り組んできたが、予定よりも作製に期間を要したこと。
②本研究遂行に必要なエフォートが、当初の予定よりも研究以外の教育等他の職務に関わる時間に費やされたため、研究実施のために時間を費やすことができなかったこと。
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| Strategy for Future Research Activity |
進捗に遅れはあるが、申請内容と合わせて以下の研究計画を推進していく。
1）TTCP/DCPAリン酸カルシウムセメントと新規開発のTTCP/α-TCPリン酸カルシウムセメントをリン酸カルシウム溶液で練和した実験溶液をウシ抜去象牙質表面に塗布し、ハンクス溶液に１～90日間浸漬した試料表面と割断面の走査型顕微鏡観察と析出物のエックス線回析を行い、象牙細管の封鎖性と石灰化誘導能について検討をおこなう。
２）各リン酸カルシウムセメント溶液で処理したウシ象牙質に対するコンポジットレジンのせん断接着強さとヒト象牙質に対する微小引張強さを測定する。
以上により、象牙細管の封鎖と再石灰化能を有しながらコンポジットレジンの接着性を低下させない象牙質コーティング材としてのリン酸カルシウムセメントの開発を検討していく。
３）各リン酸カルシウムセメントを充填用アクリル系レジンにフィラーとして添加させた場合の臨床使用可能な添加量と象牙質接着性や石灰化誘導能を具備する充填可能なコンポジットレジン材料の理工学的諸物性を検討していく。
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| Causes of Carryover |
今年度の研究経費のうちTTCP/α-TCP粉末の作製については研究協力者から提供を受けることができた。また、研究実施のエフォートが十分出なかったため、予備的な実験実施に留まり、実験作製にあたって試料数をできるだけ少なくして実験をおこなったこともあり、消耗品の購入費用を次年度に持ち越すこととなった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、研究計画に従って予算を使用するが、実験試料となるリン酸カルシウムセメントについては、当初の予算計画に比べ安価に購入できるようになったため予算に残高が生じる可能性が高い。
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