2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K11139
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
吉川 一志 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (30309182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟津 邦男 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30324817)
間 久直 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70437375)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 齲蝕 / 選択的除去 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成18年度から2年間の文部科学省科学研究補助金(基盤研究(C))「レーザーの色吸収特性を用いたう蝕の選択的除去」、平成20年度から3年間の文部科学省科学研究補助金(基盤研究(C))「レーザー高吸収体配合齲蝕検知液を用いたう蝕の選択的除去」、平成23年度から3年間の文部科学省科学研究補助金(基盤研究(C))「臨床におけるEr:YAGレーザーによる選択的う蝕除去法の確立」から得たエビデンスを元に、レーザー治療だけでなく、すべての切削器具での齲蝕治療において、術者の経験に左右されず齲蝕除去を確認できる方法を確立するための研究である。 これまで齲蝕治療に使われてきた齲蝕検知液は、齲蝕の残存を染色により確認するために、一旦齲蝕削除を休止して、染色、水洗し、確認後また齲蝕削除を開始するという煩雑な手技を行わなければならなかった。また現在市販されているカリオテスターは、測定には先端チップを取り外し、測定用のPCで測定しなければならないなどの臨床で煩雑な操作が必要となる。今回の齲蝕識別装置を併用した齲蝕除去により、術者の経験に左右されることなく、齲蝕治療の経験の浅い若い歯科医師でも、齲蝕部のみを的確に除去できる術式が確立されると考えられる。またこの齲蝕識別装置を用いることにより、暫間的間接覆髄法の経過観察において簡便に軟化象牙質の再石灰化の確認が硬さを指標として可能となることから不必要な歯髄除去を防ぐことできることが考えられることから、今後さらに加速度を増す高齢社会においての患者のQOLの実現ために、また医療費削減のために、できる限り侵襲のすくない歯科治療にとどめることは重要で、本研究の臨床的意義は高いものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
齲蝕識別装置の試作にあたり、可視光が透過し、口腔内へ挿入可能なこと、および取り外して洗浄・消毒を行うことが可能であることから、歯科治療用Er:YAGレーザーの照射用チップ(P400T、モリタ製作所)を硬さ測定用のプローブとして利用することとした。He-Neレーザーから出力された光をプローブに入射し、先端から出射される光の強さをパワーメータ(PM20、ソーラボ)で測定した。プローブ先端に黒色の塗料を塗布した場合の光出力を測定した後、プローブ先端を模擬試料に接触させてプローブ先端の塗料を一部剥離させた。その後、プローブから出力される光の強さを測定した結果、試料との接触前と比べて光出力が有意に向上し、光出力を測定することで試料の硬さを測定し、齲蝕を識別できることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
ただし、現時点ではプローブ先端へ黒色塗料を均一に塗布できておらず、試料の硬さを正確に測定できない状況であるため、今後、容易かつ短時間にプローブ先端へ黒色塗料を均一に塗布できる手法を検討する。また、今回使用したプローブは、従来のカリオテスターで用いられているプローブと材質、形状が異なるため、試料の硬さと塗料剥離量との関係も異なると考えられる。今後は、予め硬さがわかっている硬さ基準片を利用して、硬さと塗料剥離量との関係を求め、光による齲蝕の識別を試みる。さらに、He-Neレーザーを小型の半導体レーザーに置き換えることで、歯科治療の現場でも利用可能な改良型試作機を製作する。
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