2015 Fiscal Year Research-status Report
新規ハイブリッド担体を用いた口腔粘膜由来幹細胞による歯髄と象牙質複合体の再生
Project/Area Number |
15K11140
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
柿木 栄幸 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (40642830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博史 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00274001)
好川 正孝 大阪歯科大学, 歯学部, 客員准教授 (70148451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハイドロキシアパタイト / ポリビニルアルコールスポンジ / ポリ乳酸スポンジ / 歯髄・象牙質複合体 / 複合担体 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄細胞および口腔粘膜細胞の採取と培養のため、Fischer 344ラット大腿骨から骨髄細胞を採取し、また、その口腔粘膜から粘膜片(3×3 mm)を摘出、タンパク分解酵素で細胞を遊離し、それぞれを培養した。 骨髄細胞に含まれる幹細胞をDexamethasoneとβ-Glycerophosphateなどの分化促進因子を添加・培養してin vitroで容易に石灰化物が培養ウェル底に沈着し、骨髄細胞中の幹細胞が骨芽細胞あるいは軟骨芽細胞に分化して硬組織(nodule)を形成したことは明らかであった。 Fischer 344ラット口腔粘膜から粘膜片(3×3 mm)を摘出して、タンパク分解酵素で細胞を遊離し、これを8代にわたって継代培養した結果、細胞の増殖は顕著であったが骨形成性細胞への分化促進因子であるDexamethasoneとβ-Glycerophosphateなどを添加・培養して硬組織(nodule)の形成が見られなかった。 そのため、TGF-βを皮下注射したFischer 344ラットから口腔粘膜細胞を採取し、Dexamethasoneとβ-Glycerophosphate等の分化因子を添加して7代継代したところ、わずかにnoduleの形成が認められた。 また、新規ハイブリッド担体は、ポリ乳酸、デキストラン、そして、アルギン酸の各ゲルからスポンジを作製し、架橋して担体としての使用に耐える性状になったことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔粘膜由来細胞から幹細胞に脱分化させ、骨あるいは象牙質再生に働く芽細胞に再分化させる細胞が、骨あるいは象牙質の再生に必要な量を得るに達していないことは、実験の遂行がやや遅延していることになる。口腔粘膜由来細胞から幹細胞に脱分化させることはこの研究計画における根幹であり、口腔粘膜由来細胞の幹細胞への単なる脱分化ではなく、相当数の細胞の脱分化が求められるものである。 口腔粘膜由来細胞が幹細胞に脱分化し、骨あるいは象牙質再生に働く芽細胞に再分化する過程で分化促進因子の選択等の誤りであったためか、多くの芽細胞を得ることが出来なかった。この過程が進まなかったことは予想外であった。 TGF-βをラット皮下に投与して口腔粘膜細胞を採取する方法は、多くの幹細胞を粘膜細胞から再分化させるために有効であることが判っている。この手法を用いて多数の幹細胞そして芽細胞への分化を進める必要がある。 なお、ポリ乳酸、デキストラン、そして、アルギン酸の各ゲルからスポンジを作製して担体の一部にする準備は順調に進んでいる。熱架橋あるいは化学架橋で担体として適切な性状を備えるように、さらに検討を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔粘膜由来細胞から幹細胞に脱分化させることは、この研究計画における根幹である。単に口腔粘膜由来細胞を幹細胞に脱分化させることが目的ではない。相当数の口腔粘膜細胞から脱分化した相当数の幹細胞を得ることが大きな目的である。この目的を実現するため、TGF-βをラット皮下に投与して口腔粘膜細胞を採取する。この方法は、多くの幹細胞を粘膜細胞から脱分化させるために有効な手段であることが判っている。この手法を用いて多数の幹細胞そして芽細胞への分化を進める。 ハイブリッド担体の作製は順調に推移しているが、さらに、スポンジの凍結乾燥操作、あるいは、架橋操作において、スポンジへの細胞付着能を高めるために微細線維構造が細胞を保持しうる形状に構築できないかを検討したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、欧文誌への投稿のための英語論文のネイティブによる英文校正にかかる費用と予定していた。年度末まで原稿の推敲を繰り返したため、英文校正を依頼するに至らず、最後にそのための金額が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出来るだけ早い時期に英語論文の校正をネイティブに依頼して執行する。
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Research Products
(3 results)