2017 Fiscal Year Annual Research Report
Devalopment of antimicrobial technique utilizing photo-irradiated polyphenol for oral care
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15K11144
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 講師 (30431589)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポリフェノール / カフェイン酸 / 口腔粘膜刺激性 / 殺菌効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、ポリフェノールの一種であるカフェイン酸に近紫外線を照射することで、齲蝕原因菌であるStraptococcus mutansのバイオフィルムを効果的に殺菌できることを実証してきた。そこで、平成29年度は、本殺菌技術を口腔内で用いた場合の安全性を調べるための動物実験を行った。 シリアンハムスターを実験動物として用いて口腔粘膜刺激性試験を実施した。ハムスターの頬袋を口腔外に引き出してカフェイン酸と波長365 nmの近紫外線LED光で処理を行った。試験群としては、水処理群(LED照射なし)、カフェイン酸処理群(LED照射なし)、水+LED照射処理群、カフェイン酸+LED照射処理群を設定した。LEDは放射照度280 mW/cm2で用いた。また、処理時間は2分と5分を設定した。処理後に紅斑及び痂皮形成について肉眼的評価を行い、その後、生検を採取して、組織学的に炎症の状態を評価した。その結果、カフェイン酸処理は、口腔粘膜刺激性がないことが分かった。一方、LED照射を併用すると、照射時間依存的な炎症の発生が認められた。肉眼的観察および組織学的分析の結果、カフェイン酸+LED照射処理を2分間および5分間行った場合の口腔粘膜刺激性は、それぞれ「ごく軽度」と「中等度」であった。同様に水+LED照射処理群でも2分間および5分間の処理で、それぞれ「ごく軽度」と「中等度」と判定されたことから、口腔粘膜刺激性は波長365 nmのLED照射によるものと考えられた。 本科研費研究の一連の実験結果より、カフェイン酸に対する近紫外線照射により、齲蝕原因菌を効果的に殺菌できるため、本殺菌技術を口腔ケアや齲蝕治療などに臨床応用できる可能性が示唆された。ただし、LED照射時間に依存した口腔粘膜刺激性があるため、治療時間は2分未満とするべきであると考えられる。
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