2016 Fiscal Year Research-status Report
磨耗メカニズムを考慮した睡眠時ブラキシズム患者に使用する歯冠修復材料の選択
Project/Area Number |
15K11163
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑鶴 利香 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20325567)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築山 能大 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (10236870)
古谷野 潔 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50195872)
松下 恭之 九州大学, 大学病院, 准教授 (60159150)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 睡眠時ブラキシズム / 歯の磨耗 / セラミックス / 携帯型筋電計 / 表面粗さ |
Outline of Annual Research Achievements |
実験1では、咀嚼シミュレーターの垂直方向と水平方向に駆動するサーボモータを協調制御する金属支柱の緩みがみられたため、支柱固定装置を改良した。その後、衝突滑走運動,滑走運動、衝突運動の3つの異なる接触状態での咀嚼シミュレーションを継続して実施し、摩耗度と表面粗さを評価するために3種のセラミックス対エナメル質の磨耗試験を行った。 咀嚼シミュレーターの上部試料にはヒト抜去大臼歯の非機能咬頭エナメル質を用い,下部試料には3種の試験片およびコントロールにエナメル質の試験片を作製した。また、試験片の表面粗さの違いによる磨耗状態を評価するため、研磨と研削の2 種類の表面性状を作製した。シミュレーション試験前後の試料の表面粗さおよび形状を、レーザー顕微鏡にて計測し,断面積が等しい平面より咬頭頂側の体積を比較することで摩耗量を算出した。 その結果、金合金は,過去の報告と同様に対合歯摩耗の観点から優れた材料であることが示された。また、ジルコニアは,表面性状の変化が極めて小さいことが示された。一方、3つの異なる接触状態での咀嚼シミュレーション実験では、ガラスセラミックスとジルコニアにおける対合歯摩耗量は,往復滑走運動では表面粗さの影響を受け,反復衝突運動では表面粗さによらずエナメル質同士よりも対合歯を摩耗させる可能性が示された. 実験2では、九州大学病院に来院した患者のうちフルジルコニアクラウン、ガラスセラミックスクラウン、メタルボンドクラウンのいずれかを装着予定で研究への同意を得た者の睡眠時ブラキシズムを測定したところ、2名しか診断基準に適合しなかった。また、睡眠時ブラキシズム測定装置の1台が修理不能な状態に破損したため、被験者リクルート後の睡眠時ブラキシズムの判定に簡易判定装置を利用し、スクリーニングを行った上で現有の別の装置で測定し、解析中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎的データと臨床データとの比較検討に有用性が高い3種の異なる接触状態でのシミュレーションができる咀嚼シミュレーターを改良したが、シミュレーター固定装置の不具合から再度シミュレーション実験の追加が必要となった。このため、当初の予定よりも実験開始が遅延した。また、口腔内の経時的な磨耗面の評価を行うためにシリコーン印象面の表面粗さを解析する手法を検討しているが、データを解析したところ、経時的な印象面の評価をするには再現性が低いため、より高精度の測定が可能なレーザー顕微鏡を用いた解析法を検討中である。 一方、実験2の被験者の睡眠時ブラキシズム判定に国際的に頻要されつつある診断基準を用いたところ、適合する被験者が少なかった。また、当院においてCAD/CAM機器を導入したことと、CAD/CAM冠保険適用により、被験者の治療選択の幅が広がり、高額なセラミックスクラウンを選択する被験者が少なかった。特に臼歯セラミックスクラウンを選択する被験者は少ないため、少なくとも臼歯ジルコニアセラミックスクラウンを希望する被験者のリクルートを行い、追加測定を実施する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験1については、試験片の印象面の表面粗さについて高精度の測定が可能なレーザー顕微鏡を用いた解析を順次進める。3種のセラミックス対エナメル質の摩耗試験データと臨床データを確認し、結果について学術雑誌投稿を行う。 実験2についは、簡易判定装置による測定と、携帯型測定装置を用いたブラキシズム診断基準を用い、被験者数を追加し、SB患者数が統計解析に満たされるよう実験を行う。
|
Causes of Carryover |
実験1のシミュレーターの不具合から、再実験を行い、実験が遅延したことと、実験2の一部の機器破損により時間を要したことから、次年度に実験がずれ込んだことによる。またセラミックスクラウンを選択する被験者が集まらなかったこと、および解析結果からブラキシズム患者数が少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験1、2に伴う消耗品を購入する。電極ケーブル、解析ソフト等を購入する.研究促進のために実験補助者を継続的に1名雇用し,実験計画の促進を行い,確実に被験者をフォローアップして実験を遂行する.また,同様の研究を行っている研究者との研究打ち合わせを実施し,実験1については論文発表を行い、実験2については学会発表する.
|