2015 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴う骨組織再生能低下と脈管再生との関連性の解明
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15K11169
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石井 正和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00456683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 老化 / 血管新生 / 骨分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴い骨再生能の低下が起こることが知られている。組織の再生には再生部位への血管の誘導が最も重要であるが、加齢により血管新生能も低下することが報告されている。我々は、老化による骨再生能低下における血管新生の役割ついて探索するために、長期培養によって細胞老化を誘導した間葉系幹細胞、および血管内皮細を用いて、それぞれの機能変化について評価を行った。 間葉系幹細胞を20継代することによって、βガラクトシダーゼで染色される老化細胞の出現が確認され、細胞老化に伴い細胞増殖能・骨分化能が有意に低下してくることが認められた。次に間葉系幹細胞から分泌される血管新生因子および細胞遊走因子について評価を行ったところ、VEGF, bFGFの発現に関しては20継代目と3継代目の細胞において、有意な差は認められなかったが、老化細胞においてはSDF-1αの発現が有意に低下していることが確認された。また、20継代目と3継代目の間葉系幹細胞の培養上清を用いて、血管内皮細胞の遊走効果、管腔形成効果について評価を行ったところ、老化細胞の培養上清を用いた群においては血管内皮細胞の遊走・管腔形成効果が低下することが明らかとなった。 次に、血管内皮細胞を同様に長期培養によって細胞老化を誘導すると、SDF-1αのレセプターであるCXCR4の発現が低下することも明らかとなった。以上の結果から、老化によって起こる骨再生能の低下には、間葉系幹細胞自体の機能低下と、血管新生誘導効果の低下の両面によって起こる可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いた系において、骨再生能の低下と血管新生との関連連性について明らかにすることができ、その機序についても見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
老化マウス(20ヵ月齢)と若年マウス(8週齢)から間葉系幹細胞を採取し、細胞増殖能、分化能の比較を行う。また、それぞれの細胞の血管新生誘導効果についても評価を行う。 同時にマウスへの移植実験を行い、生体内での骨増生効果と血管新生能の関連性についても評価を行う。
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Causes of Carryover |
細胞培養にかかる消耗品の使用が当初の予定よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養に必要な培養液などの購入によって適切に使用する。
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Research Products
(6 results)