2015 Fiscal Year Research-status Report
骨質劣化マーカーを基軸としたインプラント術前診断の分子医学的イノベーション
Project/Area Number |
15K11170
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
正木 千尋 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (60397940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 祐介 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00611287)
向坊 太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50635117)
細川 隆司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60211546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コラーゲン架橋 / ナノインデンテーション / 骨質 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,骨強度に影響を及ぼす因子として骨の微細構造とともにコラーゲン架橋が注目されている.コラーゲン架橋は形成機序や機能の差により,いわゆる「生理的架橋」と酵素反応を介さずに形成される「非生理的架橋」の二つに分類される.非生理的架橋は老化や糖尿病,腎障害の病態にも関わりのあるadvanced glycation end products (AGEs)と呼ばれるものであり,中でもペントシジンはコラーゲン架橋の代表的なAGEsである.これまで閉経後の2型糖尿病患者では血中ペントシジン高値が独立した骨折リスクとなることが報告されており,血中のホモシステイン量や尿中もしくは血中のペントシジン値が骨質劣化マーカーとなる可能性が考えられるものの,骨質にどのような影響を与えているのかについては全く明らかにされていない.そこで本研究では,実験的にAGE架橋の増加がみられる高ホモシステイン血症動物モデルを用いて,非生理的コラーゲン架橋が骨の脆性破壊強度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. まず本年度は17-18週齢ニュージーランド白色種雌性ウサギを用いて,高ホモシステイン血症モデルの作成を行った.全身麻酔下にて卵巣摘出手術を行った後,1%L-メチオニン混合固形試料を1日あたり100g,16週間給餌させ,高ホモシステイン血症を誘発した.一方,対照群には実験動物用固形試料を給餌した.16週経過後に右側大腿骨を採取し,骨強度測定装置を用いて3点曲げ試験を行った.メチオニン投与により,最大荷重と破断力において実験群の方が対照群よりも有意に高い値を示した.一方,破断時間,破断変形,Stiffness,破断エネルギーに関しては有意な差は認めなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の予定通り、高ホモシステイン血症モデルの作製が可能であったため、すぐに3点曲げ試験による力学的解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は顎骨の骨質との関連を検討するため、ナノインデンテーションやラマン分光測定を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた実験の一部を次年度に行うことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験試薬を購入予定である。
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