2016 Fiscal Year Research-status Report
スクリュー固定式インプラント支持のジルコニア補綴装置の破壊抵抗
Project/Area Number |
15K11175
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小峰 太 日本大学, 歯学部, 准教授 (90287657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 英雄 日本大学, 歯学部, 教授 (40199857)
橋口 亜希子 日本大学, 歯学部, 助教 (70386069) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 破壊抵抗 / インプラント上部構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
スクリュー固定式のインプラント支持ジルコニア補綴装置の長期安定性を評価するため、疑似口腔内の環境下で補綴装置に荷重負荷後の破壊強度試験を行い、破壊抵抗の耐久性を検討した。 陶材前装ジルコニアクラウン(1.50 kN)、コンポジットレジン前装ジルコニアクラウン(1.58 kN)および陶材焼付金属冠(1.63 kN)間の破壊強度に統計学的有意差は認められなかった。また、フルジルコニアクラウンの破壊強度(7.23 kN)は、他の上部構造に比較して有意に高い破壊強度を示した。なお、これらの結果は、口腔内環境を模倣した耐久試験前の結果と同様の傾向を示した。 破壊強度試験後の試料の破壊形式は、陶材前装ジルコニアクラウン、コンポジットレジン前装ジルコニアクラウンおよび陶材焼付金属冠では、全ての試料で前装面における破壊であった。一方、フルジルコニアクラウンでは、フレームごとの完全破壊が観察された。また、試料の破壊試料表面観察では、陶材前装ジルコニアクラウン、コンポジットレジン前装ジルコニアクラウンおよび陶材焼付金属冠では、前装材料と思われる付着物を観察することができた。さらに、破壊面の成分分析はエネルギー分散方式蛍光X線分析装置(以下EDX)を用いて計測した結果、陶材前装ジルコニアクラウン、コンポジットレジン前装ジルコニアクラウンでは、フレームワークの構成成分であるジルコニウム、イットリウム、さらにケイ素が検出された。陶材焼付金属冠のEDX分析においては、金、亜鉛およびケイ素が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、スクリュー固定式のインプラント支持ジルコニア補綴装置の長期安定性を評価することを目的として、chewing simulatorを用いた疑似口腔内の環境を設定して、インプラント上部構造に荷重負荷後の破壊強度を評価した。前年度は、耐久試験を行う前段階として、chewing simulatorを使用せず、初期の破壊強度を検討し、有益な研究結果を得ることができた。 今回の、chewing simulatorによる繰り返し荷重回数は120万回および熱サイクル試験10万回で、長期間の耐久試験が必要となった。それに加えて、chewing simulatorの部品故障などもあり、当初の研究計画よりほんのわずか時間を要した。 また、研究当初は予定していなかったが、研究実施中にマイクロCTによる、インプラント上部構造内の気泡などの欠陥部位の検知を試み、その実験方法の確立にたどり着くことができた。これにより、chewing simulatorによる繰り返し荷重の途中における、インプラント上部構造内の状態を追跡して評価することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成28年度で実施したマイクロCTを使用して、インプラント上部構造内部の観察を継続して実施し、スクリュー固定式のインプラント支持ジルコニア補綴装置の耐久性評価に有益な情報を獲得する。具体的には、繰り返し荷重30万回ごとに,マイクロCTにて撮影を行い、インプラント上部構造内部を継続的に観察して、上部構造の破壊、亀裂の進展などについて詳細に検討する。 また,ブリッジ形態のインプラント上部構造の破壊強度および内部観察の評価も合わせて、実施する予定である。評価項目としては、繰り返し荷重負荷前後の破壊強度および破壊様式の観察、およびマイクロCTによるインプラント上部構造破壊状態の評価である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より消耗品費が安く抑えられたため、繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金と次年度の助成金を合わせて、研究実行に必要な予算を執行する。 具体的には、消耗品として、インプラント体、ジルコニアセラミックス、歯科用金属(陶材焼付用合金)、前装材料(陶材、間接修復用コンポジット)などを中心に予算執行する。関連する学術団体において成果報告を予定してるため、それに必要な旅費および学会参加費を執行する。さらに、成果報告として論文作成および論文投稿を行うために、英文校正費および論文投稿料を予定する。
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