2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔内での鉤歯の維持力測定による部分床義歯装着患者への新たな義歯調整方法の確立
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15K11176
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
秋山 仁志 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (60231841)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 簡易型維持力測定装置 / 部分床義歯 / 鉤歯 / 維持力 / 維持装置 / クラスプ / ひずみゲージ / 義歯調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
部分床義歯で使用される各種クラスプの維持力の測定をチェアサイドで簡便に行うために、信頼性、妥当性、汎用性を有する簡易的な小型維持力測定装置を開発を試みた。平成27年度は部分床義歯の維持装置の維持力を測定するために、矯正用バンドリムービング器具を改良した簡易型維持力測定装置(医療用ベンチ型荷重計)の開発を行った。バンドリムービング先端部のチップがついていない側にコーティング処理を行い、ひずみゲージを貼付し、口径1.8ケーブルをゲージ端子から握り部に溶接固定した。出力感度は約2000 ㎍/1kgf とした。ひずみゲージ式変換器を用いて電圧で検出される物理量を計測することで歯牙に装着された維持装置の維持力の数値化を行うシステムを開発した。システム完成後、維持力の較正実験を行い、本装置の有効性を確認した。研究協力者と研究代表者が主となり、メーカーの指示に基づき適切に各種維持装置の製作を行い、作業用模型に装着された各種維持装置(エーカースクラスプ、コンビネーションクラスプ、バックアクションクラスプ、リバースバックアクションクラスプ、ハーフアンドハーフクラスプ、リングクラスプ、ヘアピンクラスプ、ダブルエーカースクラスプ、延長腕鉤、RPIクラスプ、ノンクラスプデンチャーのクラスプ)について、開発した簡易型維持力測定装置を用いて離脱力を実験的に計測し、サベヤーのアンダーカットゲージで測定されたアンダーカット量と計測した維持力との関係について分析(各種維持装置の平均値の算出)を調べた。測定分析は、研究代表者の他、研究協力者が実施した。 研究成果については、公益社団法人日本補綴歯科学会第124 回学術大会にて、簡易型維持力測定装置を用いて臨床応用に対応するための基礎的データに関するポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の進捗状況については、研究計画調書に基づいて適切に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、簡易型維持力測定装置の臨床応用を行うにあたり、本研究の承諾が得られ、新たに製作した部分床義歯を装着する患者に簡易型維持力測定装置を用いて、作業用模型装着時と実際に部分床義歯を装着した際の維持力を計測し、作業用模型上と実際に口腔内に装着された維持装置の数値との差異が認められるかどうか分析を行う。差異が認められた場合、その原因は何かを分析する。その後、義歯調整時に定期的に来院した部分床義歯装着患者に対して、部分床義歯の維持装置の維持力を経時的に測定し、部分床義歯の維持力の経時的変化について分析を行う。維持力測定時、部分床義歯装着患者の1日の部分床義歯装着時間、義歯の装着回数、外した回数、口腔内清掃状況、義歯の取扱い方法、保管方法について聞き取り調査を行う。部分床義歯装着患者の鉤歯の状態について、ぺリオテストによる動揺度測定、歯周ポケット測定、必要に応じてレントゲン写真診査による骨吸収程度の確認を行う。各測定結果については、統計学的に多重比較検定分析を行い、部分床義歯の維持力に影響を及ぼす因子について明らかにする。また義歯調整時、鉤歯の維持力の状態に変化が認められた患者に対しては変化が認められる前の状況と比較検討を行うことで、義歯を装着した際のメインテナンス方法について、鉤歯に重点をおいた適切な指導を実施する。さらに、初診時に他院で製作された部分床義歯を装着し、本研究に同意が得られた患者の部分床義歯の維持力を測定し、初診時においてどの程度の維持力が発揮されているかを調査し、メインテナンス時の維持力の状況、部分床義歯の取り扱い方について聞き取り調査を行う。研究結果については、公益社団法人日本補綴歯科学会第125回学術大会にて研究報告、95th International Association for Dental Research にて研究報告を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度、海外にて研究報告を行わなかったため、外国旅費の扱いが0円であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に海外発表のために演題申込を行い、平成27年度内に演題が受理され、平成28年度に海外にて研究報告を行う。
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