2016 Fiscal Year Research-status Report
歯列データと下顎運動データを統合するバーチャル咬合器の開発
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15K11179
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
小川 匠 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20267537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 知子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (70552389)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | VR咬合器 / 下顎運動 / CAD/CAM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目標は歯科の臨床で用いられている各種デジタルデータ,CT画像装置による顎顔面3次元再構築データ,6自由度顎運動測定データ,顎顔面デジタルデータ,口腔内スキャナー等の歯列データを,歯科の必須アイテムである咬合器の用途を仮想空間上に再現したバーチャル咬合器により,検査,診断,補綴装置のCAD/CAMによる製作が可能なシステムの構築を図る.そこで,今年度は前年度に行った各種スキャナーの精度検証の継続に加え,口腔内とCTの形態情報および6自由度下顎運動データの機能情報の統合を行った. 各種スキャナーの精度検証には口腔内スキャナーとして,Trios (3Shape), Trophy (ヨシダ)を追加し,比較検討を行った.咬合の再現性として上下の顎間距離およびヘリカルアキシスを検討項目に追加した.その結果,口腔内スキャナーでは開口方向にずれが生じやすく,回転方向は模型スキャナーに比較し,一定性が認められなかった. これまで4次元下顎運動システムとして実施していた形態データの統合には歯冠および歯列の形態をレジストレーションポイントとして,データの統合を行い,下顎運動情報の統合には平均的課頭点である耳珠前方13mmと20mmにCTマーカを貼付し,これを下顎運動測定時に記録することでレジストレーションを行った.しかし,これをCAD/CAMシステムに移行するにはCTの解像度および金属アーチファクトの存在により,精度に不安が残る.そこで,今回,開口状態で口腔内にスプリントで設置するタングステン球0.3mmを使用し,CTによる問題点を回避することからレジストレーション精度の向上を試みた.その結果,これまでのレジストレーションに比較し,良好な結果が得られたことから,本法によるレジストレーション精度の検証を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,計画調書で記載した研究予定である口腔内形態情報と下顎運動情報の統合を行い,良好な結果を得ているため進行に遅れはないものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今年度に行ったレジストレーション精度の検証を行い,バーチャル咬合(VR咬合器)として使用できるよう研究を進行させる.さらにVR咬合器を使用して歯冠形態の設計,補綴装置の製作を試み,臨床応用の可能性を探る. 生体の座標系を有するスキャナーによる3次元形態情報は,STLに変換され,CTの形態情報および下顎運動情報と統合され,診断や補綴装置の設計を行う基礎データとなる.つまり対象歯と両隣在歯の形態情報に対し,対合歯列は,運動情報により時系列で表現され,運動情報を付加した形態情報として表現されることから,デジタルFGP面が作成される.これを補綴装置の咬合面に付与することから下顎運動情報により生体の運動に即した補綴装置の設計が可能となる.
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Causes of Carryover |
今年度に行った研究には前年度に購入した物品で問題なかったため次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は実際に補綴装置の製作を試みるため,CAD/CAMシステムに使用する材料やバーなどの消耗品を購入する予定である.
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Research Products
(2 results)