2016 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータ支援による顎骨再建から顎顔面補綴までのチームアプローチ
Project/Area Number |
15K11181
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
尾澤 昌悟 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50323720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 伊久夫 愛知県がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (40373493)
吉岡 文 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50468998)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三次元画像解析 / 顎骨再建 / 顔面表情モデル / 腓骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は下顎骨再建のコンピュータシミュレーションを行うために,既に再建術が施行された顎骨再建患者に同意を得てCTデータを入手し,顎骨再建の前後で3次元画像解析を行った.今年度は下顎骨の腓骨再建において腓骨の3次元形状を構築し,幾つかのセグメントを使用して下顎骨の再建方法をコンピュータ上で検討した.DICOM形式のCTデータから画像解析ソフトMimicsを使用してSTLデータへと変換し,更に3次元画像編集ソフトFreeFromを用いて顎骨欠損部と再建骨片を作成した.腓骨を3㎝程度のセグメントに切断して,欠損部に適合して顎骨の形態に類似させるだけでなく,咀嚼や整容面での検討を行った.移植骨の形態を健常側下顎骨のものに合わせて対称に構成すると,術後の整容面での患者の満足は得られやすいが,腓骨の形態は下顎骨より小さく,口腔内を補綴する際には不具合が生じる.再建後に顎義歯やインプラント義歯を製作する場合には,義歯の人工歯排列位置と再建骨との位置関係にディスクレパンシーが生じてしまう.そこで再建骨にインプラントを適用する際の,理想的な移植骨の位置についてもシミュレーションした.また軟組織の形態は,顔面皮膚の状態を3次元スキャナにて計測し,開口や顔面表情の変化についても別個に計測するモデルを構築した.いくつか顔面表情について画像解析ソフトを使用して連続的に変化させることにより,任意の顔面部位の寸法変化を計測できることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに下顎の顎骨再建シミュレーションについての手法の開発と,データベースの構築を主な計画としていた.下顎骨の再建患者のCTデータより再建後の顎骨形態をモデル化し,腓骨データと共にシミュレーションによって再建のデザインする手法を確立した.ただし,データベース構築するには更なる症例の追加が必要である.また,シミュレーションの結果と実際の顎骨再建との違いを評価し,今後の顎骨再建に役立てるためのデバイスの開発には至っていない.一方,軟組織の形態に関するシミュレーションについては,モーフィングを用いる新たな手法を開発中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては,データベースを更に充実させて,手術前に迅速に顎骨再建シミュレーションを行なえるように準備する.また,切断した骨片の界面形態に角度をつけて,より適合性のよい骨片形成ができるように,手術シミュレーションによって切断角度や接合面の形態を検討して,実際の手術に役立てられるようなデバイスの開発を試みる予定である.また,再建された顎骨と顔面形態との関連性についても,モデル化した顔面表情モデルをもとに実際の再建患者に応用して,再建による顔面形態の変化についても検討を行う.
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Causes of Carryover |
本年度は 新たに画像を動かす機能を持ったシミュレーションソフトウエアをリース契約した.また,シミュレーション画像を実際に摸型するために,3Dプリンタの消耗品費を支出した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は,顎顔面外科領域の新たなシミュレーションソフトウエアを1年間のリース契約で使用して,これまでの解析結果と比較する.また,手術シミュレーション結果を実際に活用するための,デバイス製作のための造型に3Dプリンタを使用するので,それに関する消耗品費として支出する.その他に研究に関わる消耗品の支出や,共同研究者に分担する研究に関わる経費も計上する.
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