2015 Fiscal Year Research-status Report
咬合、咀嚼機能と姿勢の相互連関性に関する包括的探索
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15K11188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂口 究 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90312371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210627)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 咬合 / 咀嚼運動 / 姿勢 / 頭部動揺 / 体幹動揺 / 身体重心動揺 / ガム咀嚼 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭部は頸部を介して体幹に支えられており,頭部動揺は姿勢制御において重要な役割を担っている.一方,咀嚼運動時には,下顎運動と頭部運動の協調性が報告されている.したがって,顎口腔機能と姿勢制御の関連性を解明するためには,咀嚼運動が,頭部動揺,体幹動揺,身体重心動揺に及ぼす影響を検索することは有意義である.さらに,これらの関連性を解明するうえで,咀嚼運動時における頭部動揺,体幹動揺,身体重心動揺相互の関連性についての検索も重要である. そこで初年度は,咀嚼運動が頭部動揺,体幹動揺,身体重心動揺に及ぼす影響とこれらの動揺の関連性について検索した.被験者には,機能的に安定した咀嚼運動経路を有する健常有歯顎者10名(平均年齢26.5歳)を選択した.下顎安静位,咬頭嵌合位,ガム咀嚼時の3条件下において,自然直立姿勢時の頭部動揺,体幹動揺,身体重心動揺の同時計測を行った.その結果,1.頭部動揺,体幹動揺,身体重心動揺はいずれも,下顎安静位,咬頭嵌合位,ガム咀嚼の順に小さくなった(p<0.05).2.身体重心動揺の前後,左右のバランスは,3条件間で有意差が認められなかった.3.3条件すべてにおいて,体幹動揺と身体重心動揺の間に強い相関が認められた(p<0.05, rs>=0.75).4.ガム咀嚼時には,頭部動揺と体幹動揺,頭部動揺と身体重心動揺それぞれの間に相関が認められた(p<0.05, rs>=0.69). 以上の結果から,下顎安静位,咬頭嵌合位を保持した時と比較して,ガム咀嚼時は,身体重心動揺のバランスには影響を及ぼさないが,頭部動揺,体幹動揺,身体重心動揺が最も小さくなり,それぞれの動揺が相関をもって変化することが明らかになった.したがって,ガム咀嚼は,姿勢制御に影響を及ぼして,頭部,体幹および身体重心動揺がともに相関を伴って小さくなり,姿勢の安定性を高める可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.初年度当初,研究室の引越しがあり,新しい研究室において,研究を実施するための環境をセットアップするのにかなりの時間を要した. 2.初年度,まずは,基準となるコントロールデータを構築するために,機能的に安定した咀嚼運動経路を有する者のデータサンプリングが必要であった.しかしながら,こうした要件を満たす対象者が少なく,目的に合致するデータを得るのに時間を要した. 3.本研究を遂行するための人的資源を確保することができず,本研究を効率的に推進することができなかった. 以上の理由から,遅れているという自己点検評価になった.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は,顎口腔機能と姿勢の関連性を解明するために,まずは,直立姿勢時における下顎位の変化と咀嚼運動が頭部,体幹および身体重心動揺に及ぼす影響とこれらの動揺の関連性について検索した.しかしながら,通常ヒトは座位にて咀嚼を行う.したがって,次年度では,直立姿勢時の評価に加えて座位姿勢時の評価も行う予定である. また,現状,現在までの進捗状況1.~3.の事項については目処が付いたので,本研究の計画調書に記載した当初の計画通り,被験者数を増やすとともに,生体からの抽出データも増やし,咬合,咀嚼機能と姿勢の相互連関性に関する包括的探索を推進していく予定である.
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Causes of Carryover |
初年度は,現在までの進捗状況1.~3.の理由から,当初計画していた座位姿勢時の評価および生体データの抽出ができなかった.したがって,予定していた設備備品と消耗品の購入までには至らなかったために,次年度に使用額を繰り越すことになってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では,今後の研究の推進方策で記したように,当初の計画通り本研究を推進していくために,必要な物品を購入する予定である.
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Research Products
(3 results)