2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11201
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
成田 紀之 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (10155997)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経頭蓋磁気刺激(TMS) / 口下顎ジストニア / 不随意運動症 / 感覚運動皮質 / 光トポグラフィ(NIRS) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口顎ジストニアにおける経頭蓋磁気刺激がその皮質活動性ならびに顎筋活動の亢進を如何に制限し、さらに非運動性の方向にまで効果を示すかを検討することを目的に遂行されている。本学付属病院顎脳機能センター神経歯科外来ならびに日本大学病院脳神経外科外来を受診した口腔顔面領域の不随意運動症患者(男性4名、女性8名の12名)を対象とした。経頭蓋磁気刺激(TMS)の回数は2週間に1回の頻度で行い、10回の刺激後を術後とした。本報告では、刺激10回を終了した被験対象者女性6名、37歳~76歳について行なう。 1.疼痛自覚強度のNumerical Rating Scaleの評価は、術前平均 (SD) 4.5 (2.8)から術後1.7 (2.0)に有意な改善を認めた。2.運動困難自覚は、会話、咀嚼、嚥下、舌、閉口、口唇のいずれにも有意差を認めなかった。3.精神心理的評価にはHospital Anxiety and Depression Scale (HADS)、Symptom Checklist-90-Revised (SCL)を用いた。HADSは、不安スコアならびにうつスコアの術前と術後に有意差を認めなかった。SCLは、うつスコアに有意差を認めなかったが、身体化スコアは術前0.7 (0.4)から術後0.4 (0.3)に有意な改善を認めた。また、疼痛除外の身体化スコアに有意差を認めなかった。4.口腔関連QOLの評価、OHIP-Jは、機能制限、痛み、心理的不快感、身体的障害、心理的障害、社会的障害、ハンディキャップのいずれにも有意差を認めなかった。5.健康関連QOL の評価にはSF36を用いた。SF36の3コンポーネント・サマリースコア(身体的、精神的、役割/社会的QOLサマリースコア)のいずれにも有意差を認めなかった。6.咀嚼機能を示す咀嚼スコアは、術前47.3 (37.2)から術後68.4 (31.4)へと有意な改善を認めた。7.ジストニア運動スケールは、有意差を認めなかったが、誘発因子スコア(口腔)は術前6.4 (3.0)から術後2.8 (3.4)へと有意な改善が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、術後の評価まで終了している被験対象者は6名であるが、術後の評価として、経頭蓋刺激において10回を目安に検討を行っている。刺激頻度は2週間に1回としているため、1人の被験対象者の評価を行うためには最低でも5カ月の期間を要している。また、遠方より来院する被験対象者が多く、埼玉県、静岡県、兵庫県と他府県から来院する被験対象者のため時間を要している。現在、本報告以外において刺激を行っている被験対象者も6名おり、さらに、経頭蓋磁気刺激(TMS)を希望している被験対象者もいるため、今後被験者数は増えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、TMSによって、疼痛の自覚強度、Symptom Checklist-90-Revised (SCL)の身体化スコア、咀嚼スコア、ジストニア誘発因子スコア(口腔)などに有意な改善を認めている。今後、被験者数を増やし、感覚運動皮質領域の活動性に関するトポグラフィー(NIRS)計測を個々に行い、口顎ジストニア患者の感覚運動皮質活動性をもとにTMSを施行する。
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Causes of Carryover |
本年度は2回の海外旅費として500,000円を申請していたが、Movement Disorders: Current Concepts and Practice Boston, Massachusetts 02215, United States の学会研修参加1回のみで終了したため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度も2回の海外学会への学会・研修への参加を予定している。また、論文投稿も予定しており、投稿にかかる費用に使用する予定である。
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