2015 Fiscal Year Research-status Report
強固な上皮付着と抗菌性を有する表面改質歯科用インプラントの開発
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15K11211
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中石 典子 (寺田) 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 技術職員 (60374550)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハイドロキシアパタイト(HA) / ポリリン酸 / 抗菌性 |
Outline of Annual Research Achievements |
良好な上皮接着が認められるハイドロキシアパタイト(HA)コーティングチタン(Ti)に、ポリリン酸をコーティングさせ、材料の特性と抗菌性の評価を行うことを初年度の目標とした。 1.薄膜HAコーティングインプラントと同等の品質と厚みのHAコーティングTi板(HA-Ti板と呼ぶ)を、0,1,10wt%の超長鎖ポリリン酸溶液(lpと呼ぶ)と同濃度の中鎖ポリリン酸溶液(mpと呼ぶ)に浸漬させ、ポリリン酸結合HA-Ti板を作製した。また、同条件でポリリン酸の抗菌性を確認するためにHA-diskを用いたポリリン酸結合HA-diskも作製した。 2.ポリリン酸結合HA-Ti板の表面を(1)走査型電子顕微鏡で解析したところ、1wt%lp-HA-Ti板では蜂巣状となり、10wt%ではポリリン酸コーティング層に孔が多数認められ、1wt%mp-HA-Ti板では0wt%mpと同様な粗造な面を呈し、10wt%ではやや滑らかな面を呈していた。(2)エネルギー分散X線分光法にてTi表面のポリリン酸を定量的に分析したところ、中鎖ポリリン酸より超長鎖ポリリン酸の方が、また、1wt%より10wt%の方がポリリン酸の付着が多かった。 3.抗菌性を評価するため口腔内微生物培養実験を行った。微生物増殖を定量化し、蛍光顕微鏡にて観察したところ、中鎖ポリリン酸より超長鎖ポリリン酸の方が、また、1wt%より10wt%の方が、HA-disk上に付着する微生物が少なかったことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリリン酸結合HA-Ti板を作製し、その表面がポリリン酸の種類、濃度により相違があることを確認した。また、ポリリン酸の種類、濃度により微生物への抗菌作用が変化することも確認できた。目標に向けて研究が進展し一定の結果が出たことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では当初の実験計画にあるように、上皮細胞を用いた2次元培養を行う。まず、ポリリン酸結合HA-Ti板上に播種した上皮細胞を化学的に剥離して細胞の接着能を評価する。次に、インビトロ炎症モデル下で上皮細胞の接着能を形態学的、生物化学的に評価するとともに、抗菌性が有効であるかを評価する。最終的に、ポリリン酸結合HA-Ti板において最も細胞接着能および抗菌性が高い条件を決定する。また、得られた成果は国内外の学会で発表し、論文投稿をする予定である。
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