2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K11232
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
牧田 佳真 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (30454573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノカプセル / MRI / ヘミクリプトファン / 造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実施者がこれまでに開発したナノカプセルを基に、ナノカプセルの空孔内部にMRI造影活性を有する金属を導入した金属内包ナノカプセルの作成およびその機能評価により、ナノカプセルの空孔を利用した新たなMRイメージング剤の開発を目的としている。 本年度は、スペーサー部位にビフェニル基を導入することで空孔内部を拡張したナノカプセルの合成を行った。得られたナノカプセルはNMR、X線結晶構造解析、ESI-MSにより同定した。その結果、ビフェニル基の導入によりこれまでに合成したナノカプセルよりも空孔内部が拡張されていることを見出した。また、得られたナノカプセルは溶媒によってコンフォメーションが変化することがNMRにより明らかとなった。クロロホルム溶媒では、空孔内部に溶媒が自由に出入りできるためにカプセルは空洞状のコンフォメーションを取っているが、DMSO溶媒中ではDMSO溶媒が空孔内部に入りにくいために、カプセルのスペーサー部位がねじれた状態になっていることが明らかとなった。また、得られた新規拡張ナノカプセルは亜鉛、コバルト、銅イオンと様々な金属内包ナノカプセルが構築できることを見出した。特に、コバルト内包ナノカプセルはX線結晶構造解析により空孔内部にクロロホルム、アセトニトリル及びコバルトと二種の分子と1種の金属を含む錯体を形成していることを見出した。 本知見により、ナノカプセルが生体内の特定の基質を空孔内部に包接させることで、造影能を制御できるMRイメージング剤への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、拡張ナノカプセルにキレート配位子を導入し、ガドリニウム内包ナノカプセルの合成および構造決定を行う予定であった。しかしながら、当該年度は拡張金属内包ナノカプセルの合成に成功したが、ガドリニウムイオンの導入およびその構造決定には至っていない。一方で、拡張ナノカプセルが三成分を一度に内包できるナノカプセルであることを見出すことができた。これは、当初の計画には無かったものだが、本MRI造影剤の緩和度を基質の包接によって制御可能なスマート造影剤への応用が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノカプセルによるガドリニウムイオンの内包効果を詳細に検討する。特に血液中でMRI造影の妨げとなる各種イオン、または血中の糖成分などと、水分子の配位速度の違いを分析し、ナノカプセルによる内包効果の利点を明らかにする。拡張ナノカプセルにキレート配位子を導入し、ガドリニウム内包拡張ナノカプセルの合成および構造決定を行う。ガドリニウムによる1H核の緩和効果と基質の包接との関わりを明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) 予定していた学会参加のための旅費を使用しなかったこと、器具代や試薬代が予定より安く済んだため、その分だけ差額が生じた。 (使用計画) 30年度のナノカプセル合成のための試薬および器具、量子科学計算用のPCおよび計算ソフトに用いる。
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