2016 Fiscal Year Research-status Report
唾液を用いたフローサイトメトリー解析による難治性口腔粘膜疾患の病因解明への挑戦
Project/Area Number |
15K11235
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究科, 教授 (90250464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 晴彦 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10344516)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究科, 助教 (40548202)
大内 学 北海道大学, 大学病院, 医員 (80711902) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 唾液 / フローサイトメトリー / 難治性口腔粘膜疾患 / 炎症性サイトカイン / 免疫細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液は非侵襲的かつ簡便に繰り返し採取が行えるというメリットがある。近年、唾液中の物質を口腔疾患の診断、経時的な病態の把握に用いようとする試みが始まっている。 昨年度、我々は、健常者の血清中と唾液中のサイトカインがCytometric bead array (CBA法)により解析可能かを検討し、その結果、唾液中のサイトカイン濃度は血清に比べ、高いことを見いだし、小量の唾液中からCBA法でサイトカインが検出できることがわかった。 昨年度、液性因子が検出可能であったため、本年度我々は唾液中に存在する細胞の分画について興味を持ち、実験を継続した。具体的にはフローサイトメトリーを用いて健常者の唾液中の免疫細胞(CD3、CD4、CD45陽性細胞)が検出・解析可能かを検討した。被験者は歯周ポケットが3mm以下で、口腔粘膜疾患を有していない健常者5名であった。これらの被験者から血液と安静時唾液(約3 ml)を回収した。回収した血液と唾液サンプルをCD45抗体で染色し、フローサイトメトリー(BD社Aria-2)でリンパ球、マクロファージ、顆粒球の分画を抽出し、CD45陽性細胞を解析した。また、解析にあたり死細胞をPI(1ug/ml)で染色し、生細胞を抽出した。結果は、唾液中の生細胞中、CD45陽性細胞は0.7、1.2、2.5、3.6、16.0%であった。また、CD3とCD4陽性細胞の存在も確認できた。 口腔カンジダ症は、局所の免疫機構が障害されたときに発症する。いままで、口腔内の唾液中の細胞解析は、技術的困難のため行われていない。本研究から小量の唾液サンプルからCD45陽性細胞が検出可能であった。今後、唾液中のCD45 陽性細胞の構成割合の変化が口腔カンジダ症、扁平苔癬を始めとした口腔粘膜疾患の病因解明につながるかについて検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は唾液中に存在する生細胞の解析を目的として、フローサイトメトリー解析のプロトコールを完成させた。その後、複数の被験者から安静時唾液を回収して、唾液中の免疫細胞(CD3、CD4、CD45陽性細胞)の割合をフローサイトメトリーで解析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、口腔内科外来を受診する口腔カンジダ症患者の唾液を解析し、1)唾液中のサイトカイン 2)唾液中の免疫細胞の割合、3)臨床的パラメータ(発症部位、舌痛の程度、粘膜の状態、抗真菌薬の治療抵抗性等)との関係について研究をすすめていきたい。 予備実験では、口腔カンジダ症患者の唾液で発現が低下しているサイトカインも複数発見している。 今後症例数を増やして、検討する予定である。
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Causes of Carryover |
現在までにほぼ執行済みであり、次年度の使用額はごくわずかである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月以降、早急に執行予定である。
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Research Products
(1 results)