2015 Fiscal Year Research-status Report
自家再生組織移植における危険関連分子パターンの解析と再生医療への応用
Project/Area Number |
15K11236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 夕子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50466744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軟骨再生医療 / DAMPs |
Outline of Annual Research Achievements |
顎顔面領域の組織再建では、低侵襲で組織親和性が高く、患者の欠損部に適合するテーラーメイド型再生医療の導入が期待されている。再生医療の臨床応用においては、再生組織を構成する細胞や足場素材などに対する組織反応を制御しながら、生着、成熟させることが重要である。その点では、自己由来細胞は拒絶反応を惹起することがなく、再生医療の細胞源としては圧倒的に有利である。しかし、自己由来細胞といえども、細胞培養から移植後早期にかけた非生理的環境により誘発された細胞傷害は、危険関連分子パターン(DAMPs)を放出し、組織反応を惹起することが近年明らかとなってきた。本研究では、再生医療の導入が期待される軟骨再生医療において、DAMPsが軟骨再生に与える影響を検討し、得られた知見を、再生組織に対する組織反応制御に役立てることを目的としている。 平成27年度は、DAMPs放出軟骨細胞を誘導する条件検討を行った。55℃の乾熱滅菌器で15, 30, 60, 90分間静置後、上清を取り除いて新しいDMEMを加え、37℃のインキュベーターで培養した。継時的に細胞を回収し、生細胞と死細胞を計測した。また、フローサイトメトリー細胞に誘導される初期アポトーシスや細胞死を検出し、50%程度の軟骨細胞に壊死が誘導される条件として30分を選定した。 次いで、培養軟骨細胞から放出されるDAMPsを検討した。生存性の低下した細胞から放出されるDAMPsとしては、Uric acid, HSP70, HSP60, HSP90, Gp96, Biglycan, HMGB-1, Self DNA, Nucleotidesなどが報告されている。上記で選定した方法で細胞を調整し、継時的に培養上清および細胞を回収した。それらに含まれるDAMPsを、遺伝子発現やウェスタンブロッティング法や生化学的解析により検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、DAMPs放出軟骨細胞を誘導する条件検討と、培養軟骨細胞から放出されるDAMPsを検討する予定であった。現在、培養軟骨細胞から放出されるDAMPsを詳細に検討しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、引き続き培養軟骨細胞から放出されるDAMPsを検討するとともに、予定通りDAMPs放出軟骨細胞が惹起する組織反応の検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
安定した結果が繰り返し得られ、実験が順調に進んだため、当初予定していたよりも抗体や試薬の必要量がすくなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養軟骨細胞から放出されるDAMPsの候補因子をふやして検討を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)