2016 Fiscal Year Research-status Report
Research of the regulation of carcinoma by inhibition of nuclear receptor pathway and molecular mechanism.
Project/Area Number |
15K11244
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増田 智丈 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (20510978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 俊介 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (40585725)
和田 孝一郎 島根大学, 医学部, 教授 (90263467)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 核内受容体 / 扁平上皮癌 / FABP4 / 増殖 / 浸潤 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、核内受容体が扁平上皮癌の細胞増殖に重要な役割を果たしていることを報告している。すなわち、この核内受容体の機能を抑制する、あるいは発現をノックダウンすることにより、癌細胞の増殖が抑制されることを見出している。我々が注目している核内受容体がPeroxisome proliferator-activated receptor gamma (PPARgamma) である。このPPARgammaは核内転写調節因子として働き、種々の分子の発現を制御している。制御している分子の検討をマイクロアレイの手法を用いて行い、分子のセレクションを行った。その分子の一つがFatty acid-binding protein (FABP) であった。FABPの中でも特にFABP4が扁平上皮癌の癌部に特異的に高発現していることを患者から採取した組織切片を用いた免疫組織染色解析で明らかになった。さらに培養細胞でも高い発現が認められたことから、このFABP4をsiRNAを用いて特異的にノックダウンすることを試みた。その結果、培養癌細胞の増殖を有意に抑制することができた。これらの結果からFABP4も癌細胞の増殖に重要な役割を果たしていることが明らかになり、これら一連の研究成果を英語学術論文として発表することができた。さらに現在、このPPARgammaによって発現をコントロールされている他の分子についても検討中であり、より詳細な研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに口腔扁平上皮癌において、核内受容体であるPPARgammaによって発現をコントロールされている分子の一つであるFABP4が高発現していることを舌癌患者組織切片を用いた研究から明らかにすることができだ。さらにFABP4を特異的にノックダウンすることにより、培養癌細胞の増殖を有意に抑制すること、およびそのメカニズムも明らかにすることができた。PPARgammaによって直接発現をコントロールされている分子が扁平上皮癌の増殖をコントロールしていることを明らかにしたことは非常に意義深い。よって、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、我々の研究グループが長年研究を行ってきたPPARgammaによってその発現をコントロールされている分子はFABP4だけではない。もう一つの注目している分子としてアクアポリンなどがある。両者は癌細胞や癌組織で高発現し、どちらもノックダウンすることで癌細胞の増殖が抑制されるという結果は非常に興味深いものである。今後、PPARgamma を中心としたFABP4とアクアポリンとのインタラクションによる癌細胞増殖・浸潤・転移における役割について研究を進めていく予定である。特に相互作用については、それぞれのタンパクの発現調節、シグナル伝達、等について詳細な検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に実施予定であった動物モデルの研究が予定通りに行われなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費はおおむね計画通り使用されている。本年度に関しても当初の見込み額と執行額に殆ど差異はなく、計画通りである。次年度以降も同様に、計画通り研究費を使用していく予定である。
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