2015 Fiscal Year Research-status Report
骨芽細胞ニッチおよび造血幹細胞が引き起こす骨粗鬆症分子病態メカニズムの解明
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15K11246
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山近 英樹 岡山大学, 大学病院, 講師 (10294422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / 造血幹細胞 / 骨芽細胞 / ビスフォスフォネート / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は当初の研究実施計画に従い、骨粗鬆症モデルマウスとして卵巣摘出(OVX)マウスを用い、これに骨粗鬆症治療薬として、ゾレドロネート(BP系薬剤)、リセドロネート(BP系薬剤)、テリパラチドを投与した。投与開始後10週でマウスより末梢血および大腿骨を回収し、末梢血は抗CD45FITC抗体、抗CD3ePE-Cy7抗体、抗CD19APC抗体、抗CD49bPE抗体、抗CD11cV450抗体で多重染色を行いリンパ球のサブセット(T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞)をフローサイトメータにて解析した。さらにT細胞については、胸腺細胞、脾臓細胞よりサブセット解析を行った。T細胞のサブセット解析については、当初の予定である抗CD4BV421抗体、抗CD8aAPC抗体によるCD4/CD8分画に加えて、抗TCR PE抗体にて細胞分画を追加した。さらに分離した血清を用いてマルチプレックスアッセイにてサイトカイン、ケモカインの測定を行った。また大腿骨はHE、マイクロCT、免疫組織学的検索(抗CD3抗体によるT細胞精査)を行った。 その結果T細胞は、ゾレドロネートやリセドロネートなどのBP系薬剤により、骨髄中および胸腺でその数を減らしてくることがわかった。一方テリパラチドは、胸腺でT細胞を増加させるものと思われた。また末梢血中では、T細胞はOVX処理により有意に減少することがわかった。 T細胞のサブセット解析では、ゾレドロネートやリセドロネートなどのBP系薬剤により胸腺でCD4、CD8のダブルネガティブ細胞と、ダブルポジティブ細胞が増加していた。このことはゾレドロネートやリセドロネートなどのBP系薬剤により胸腺で成熟したT細胞が枯渇することを示しており、先に示したBP系薬剤により末梢血中で成熟したT細胞が減少することをうまく説明すると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ球のサブセット解析は多重染色によるフローサイトメトリー解析をおこなっている。この解析方法では各種パラメーターの設定に難渋するところではあるが、順調に細胞の展開がすすみ細胞解析が円滑におこなえたと思う。一方当初の実施計画で示していた骨髄細胞のSca1、CD29、CD34、CD44、CD45、CD90、CD105を用いたフローサイトメトリー解析については、若干の遅れをみとめるものの、当初の実施計画で平成28年度に行う予定としていたサイトカイン、ケモカインアッセイについて一部をすでに終了することができたので、研究計画全体ではまったく遅れはないものと思われる
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Strategy for Future Research Activity |
OVXなどによる骨粗鬆症モデルマウスにゾレドロネート、リセドロネート、テリパラチド、デノスマブ、ラロキシフェンを投与し骨髄細胞中の間葉系幹細胞、造血幹細胞の性状を確認していく。具体的にはゾレドロネート、リセドロネート、テリパラチド、デノスマブ、ラロキシフェンを投与開始後10週、20週、30週でマウス大腿骨から骨髄細胞を回収し、この細胞をSca1、CD29、CD34、CD44、CD45、CD90、CD105などの細胞膜抗原をFACSにより精査する。さらにCD34陽性/CD45弱陽性/CD90陽性の細胞分画を造血幹細胞としてソーティングし、得られた造血幹細胞から、RT-PCRによりNotchシグナル、Ikaros、PU.1、Pax-5などのリンパ球関連転写因子へ与える影響を検討する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Anti-osteoporosis effects of 1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid in ovariectomized mice with increasing of bone density2016
Author(s)
Kenichiro Kita, Eiki Yamachika, Masakazu Matsubara, Hidetsugu Tsujigiwa, Nobuhisa Ishida, Norifumi Moritani, Tatsushi Matsumura, Masahide Mizutani, Yuki Fujita, Kiyofumi Takabatake, Kenichiro Ejima, Hitoshi Nagatsuka, Yoshinori Yamaguchi, Seiji Iida
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Journal Title
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
Volume: 28(1)
Pages: 66-72
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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