2016 Fiscal Year Research-status Report
骨-リンパ系免疫システムを賦活化する脂肪由来幹細胞を用いたARONJ治療法の開発
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15K11258
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (40443915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (50456654)
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死 / 抗RANKL抗体製剤関連顎骨壊死 / 動物モデル / 抗癌剤 / 病因 / 治療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、抗RANKL抗体製剤関連顎骨壊死がビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死と同じ病因であることを証明し、骨-リンパ系免疫機構を賦活化する脂肪由来幹細胞を用いて、両方の薬剤関連顎骨壊死を同時に解決する治療法を開発することにある。 本年度は抗RANKL抗体による抜歯窩治癒不全モデル(顎骨壊死モデル)の開発を行った。その結果、特定濃度の抗RANKL抗体に抜歯を併用しても顎骨壊死は全く起こらなかった。すなわち上皮は全て閉鎖し、抜歯窩は骨で満たされていた。一方、特定濃度の抗RANKL抗体と抗癌剤Aの併用投与に抜歯を組み合わせることで、100%の割合でマウスに顎骨壊死の状態を惹起することができた。この顎骨壊死の肉眼的特徴は上皮の広範囲な欠落を伴う治癒不全状態であり、生理食塩水投与群(対照群)、抗RANKL抗体投与群、ならびに抗癌剤投与群のそれぞれに抜歯を併用した抜歯部位の治癒像とは全く異なっていた。さらに組織形態学的解析からは、抜歯窩における新生骨の有意な減少、壊死骨の有意な増大、空の骨小腔の有意な増加、骨細胞の有意な減少が認められ、これらは、ビスフォスフォネート製剤と本実験に使用している同じ抗癌剤に抜歯を併用して作製した高頻度発現型ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死モデルにおける病態と同じであった。 ところが、高頻度発現型抗RANKL抗体製剤顎骨壊死モデルと高頻度発現型ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死モデルを比較すると、壊死骨の量は高頻度発現型抗RANKL抗体製剤関連顎骨壊死モデルの方が有意に多いことが明らかとなった。マウス顎骨壊死モデルにおいて、一見同じように見える2種類の顎骨壊死は、異なった病態を有していることが証明された。 一方、高頻度発現型ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死モデルに対しては、脂肪組織由来幹細胞を移植することで顎骨壊死を抑制することが可能となることも証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、高頻度発現型抗RANKL抗体製剤関連顎骨壊死モデルの開発に成功し、一部の組織形態学的解析を行うことができ、さらには高頻度発現型ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死モデルとの比較も開始することができた。さらに脂肪由来幹細胞移植によるビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死モデルの治癒促進効果も証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
高頻度発現型ビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死モデルと高頻度発現型抗RANKL抗体製剤関連顎骨壊死モデルにおける病態の相違を解明し、脂肪由来幹細胞が両者の病態に奏功するかを明らかにする。また、顎骨壊死部では骨質の変化が著しいことから、骨質(骨細胞、コラーゲンの配向性、生体アパタイト結晶の配向性)の観点からも顎骨壊死の病態解析を行う。
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