2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌におけるRNA編集異常と悪性化進展機構への関与
Project/Area Number |
15K11265
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
奥村 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (60194510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 恵美子 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80113570)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | RNA編集異常 / ADAR1 / ADAR2 / 癌細胞浸潤能 / レンチウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト舌原発巣から樹立した扁平上皮癌細胞SAS-H1をin vitro クロー ニング法を用いて、ラット肺血管内皮細胞RLEへの癌細胞の潜り込みを指標とした浸潤アッセイ で、高浸潤性癌細胞SAS-H1と低浸潤性癌細胞SAS-L1を得た。そこで、この細胞遊走能や浸潤能が異なる2つの癌細胞を用いて、ADARファミリーの発現をmRNAと蛋白質レベルで検討した。 その結果、高浸潤性癌細胞SAS-H1では、低浸潤性癌細胞SAS-L1と比較して、ADAR1とADAR2の発現量が増強していることが示された。ADARの発現量の変化は、口腔扁平上皮癌細胞に普遍的に共通する現象であるかを、保有する口腔扁平上皮癌細胞7株(HSC2, HSC3, HSC4, IT-GA, IS-FOM, OSC19, OSC20)で、 ADAR1, ADAR2, ADAR3のmRNAと蛋白質の発現レベルを検討した。その結果、共通してADAR1発現が優位であったが、個々の細胞株で様々な発現強度がみられた。このことから、SAS-H1 細胞と SAS-L1 細胞に対して、レンチウイルス・ベクターを用いて ADAR1(p110 アイソフォーム)遺伝子を導入し、ADAR1 高発現癌細胞を作製することとした。その結果、ADAR1遺伝子発現細胞は、SAS-H1細胞で5つ、SAS-L1細胞では、2つ得られたが、SAS-L1細胞で得られたADAR1遺伝子発現細胞では発現効率が低く、悪性化進展機構を解明する際の比較対照実験に困難をきたしている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レンチウイルス・ベクターによる ADAR1(p110 アイソフォーム)遺伝子導入において、SAS-L1細胞でのADAR1 高発現癌細胞を得ることに難渋している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ベクターの種類や遺伝子導入方法を検討し、早急に解決をはかる予定でいる。また、同時にADAR1遺伝子導入効率が高い他の口腔扁平上皮癌細胞株についても探索を進めている。
|
Causes of Carryover |
本年度に予定していたレンチウイルス・ベクターを用いたADAR1(p110 アイソフォーム)遺伝子導入について、導入効率を高める方策を検討中である。SAS-H1細胞に対しては、ADAR1遺伝子導入の高発現細胞が得られているので、細胞増殖活性、 細胞遊走能、基底膜浸潤能について、コントロールレンチウイルス・ベクター導入細胞との比較を行い、現在、検証実験を施行している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰越し金:622,265円については、現在進捗が遅れている、遺伝子発現効率を高める方法について、ベクターの購入を含めて実施費用に充てる予定である。
|