2016 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌における腫瘍内不均一性の形成機序と評価法に関する研究
Project/Area Number |
15K11288
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鵜澤 成一 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (30345285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 啓 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00302886)
茂櫛 薫 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60569292)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔 / 癌 / 不均一性 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
原発巣における癌の遺伝的不均一性は、転移巣におけるクローン形成に大きな影響をもたらすと考えられる。今回、われわれは、舌扁平上皮癌リンパ節転移過程におけるクローンの変化を解析するために、舌癌原発巣と、同一患者に同時性あるいは異時性に生じた頸部リンパ節転移巣の遺伝的プロファイルを、高密度SNPアレイ:OncoscanTM FFPE Assay Kit(Affimetrix社)を用いて行った。その結果、クラスター解析により、10ペア中8ペアが同一クラスターに分類され、原発巣とリンパ節転移巣は遺伝的に極めて類似したクローンから形成されていることが分かった。また、6ペアにおいて、8q11.21, 8q12.2-3, 8q21.3 増幅、22q11.23 欠失が、さらに9ペアにおいて16p11.2 CN-LOHが転移過程において保持されており、これらの染色体領域の変化は、転移過程よりも、むしろ発生・進展過程に関与している可能性が示唆された。しかし、20q11.2 増幅は原発巣では認められず、リンパ節転移巣特異的に生じており、この染色体領域の変化は、転移過程に特異的に関与していることが示唆された。さらに、同染色体領域の、候補遺伝子の1つであるE2F1遺伝子について、そのタンパク発現状況を、別のコホートを対象に解析した結果、同タンパク質の発現は、舌癌原発巣に比較して、転移リンパ節において有意に高発現していることが分かった。すなわち、E2F1遺伝子は、舌癌リンパ節転移過程において重要な役割を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SNPs array による研究の論文化に成功したため
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Strategy for Future Research Activity |
同一患者における口腔癌原発巣と同時性・異時性に生じたリンパ節転移巣に対するSNPsアレイ解析の結果に基づき、不均一性の評価を試みる予定である
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Causes of Carryover |
昨年度は、論文作成がメインであり、新たな解析を進めなかったため、予定使用額と差が生じ
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、予定通り解析を遂行する予定である。
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