2015 Fiscal Year Research-status Report
TPD54に結合するタンパクの同定および、複合体形成による翻訳後修飾機構の解析
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15K11301
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 助教 (50325099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 誠二 昭和大学, 歯学部, 准教授 (10432634) [Withdrawn]
代田 達夫 昭和大学, 歯学部, 教授 (60235760)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | TPD52 family / TPD52 / Cancer / Squamous Cell Cartinoma |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、in vivo Time-Of-Flight Mass Spectrometry(TOFMASS)を用い、ヒト口腔扁平上皮癌において特異的に発現しているTPD54(TPD52L2)というTPDファミリーに属する機能が未解析のタンパクを見出し、このタンパクは癌細胞の増殖およびマトリクス金属プロテアーゼ(MMP)活性には全く影響を及ぼさないが、Talin 1の発現を抑制することで、細胞外基質への接着および細胞外基質依存性の細胞の移動を負に抑制していること、さらには、この制御系はAkt/PKBのリン酸化に依存していることを見出し、TPD54は扁平上皮癌細胞のnegative regulatorで、同ファミリーに属するTPD52の扁平上皮癌における転移亢進作用を拮抗的に抑制していることを世界に先駆けて報告した(Mukudai et al. Cellular Oncol. 2013)。そこで本研究は、この延長として、ヒト口腔扁平上皮癌および腺癌においての、同タンパクのエピジェネティックな転写後発現制御機構を、最近Promega社より発売された新規万能タグベクターHalo Tag(http://www.promega.co.jp/halotag/index.html)を用いて解析を行うものである。具体的には、TPDファミリーを構成する一つのタンパクであるTPD54のエピジェネティックな発現制御機構、特に、タンパクのリン酸化などの翻訳後修飾、それに伴って変化する細胞内での局在の変化、さらには、これと複合体を形成する新規タンパクを検索することで、口腔癌細胞における新たな分子標的治療としての、分子生物学的な基礎的研究を行うことにある。 そこで、本研究計画では、以下の【現在までの進捗状況】に記した研究を今年度に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度には、以下の研究を行った。 ・TPD54に結合するタンパクの同定 pFN21A HaloTag7 CMV(プロメガ社)ベクターにヒトTPD54遺伝子を組み込み、これをSAS細胞(ヒト口腔扁平癌細胞)にトランスフェクションする。コントロールには、空ベクター発現株を用いた。これらの細胞から、Halo Tag Mammalian Pull-Down and Labeling System(プロメガ社)を用いて、タンパクPull-Downアッセイを行い、TPD54特異的結合タンパクを溶出した。得られたタンパクを二次元電気泳動に展開し、コントロールと比較し特異的タンパクを切り出し、LS MS/MS質量分析法用いて、データベースから目的のタンパクを複数同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、今後は以下の研究を推進する予定である。 ・ in vitroでのTPD54タンパクのエピジェネティックな制御機構の解析 Halo Tag Pull-Down法による二量体形成の検索、および、二量体形成に対する扁平癌細胞の増殖・浸潤・転移に関する影響の検索。さらには、Halo Tag-TPD54野生体および変異体導入したSAS細胞の恒常発現株に、上述した強制発現ベクターあるいは、shRNA発現ベクターをトランスフェクションし、癌細胞の増殖・浸潤などに関する各種バイオアッセイをin vitroにておこなう。 平成29年度 ・ in vivoでのTPD54タンパクのエピジェネティックな制御機構の解析
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Causes of Carryover |
事前の予想より、試薬の購入価格が抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度以降の研究費(試薬購入費等)に充当する。
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