2015 Fiscal Year Research-status Report
NOTCH1およびHRASの機能的変異による口腔扁平上皮癌モデルの作製
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15K11302
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
太田 嘉英 東海大学, 医学部, 教授 (60233152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
青山 謙一 東海大学, 医学部, 助教 (10647530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 変異解析 / NOTCH1 / HRAS |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】採択者らは、NOTCH経路とRAS経路に注目して、口腔扁平上皮癌(OSCC)に対する臨床・分子生物学的解析を行ってきた。NOTCH1遺伝子のリガンド結合領域付近のコード領域を解析し、9.5%と高頻度で新規変異を発見し、それらNOTCH1変異(p.A465Tおよびp.G481S)がタンパク質の構造に与える影響を、報告されているX線回折結果(PDB: 2VJ3)に基づいて解析し、リガンド結合が不安定になる可能性を報告した(Aoyama K, Ota Y, Kimura M. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2014 ;452(4):980-5)。その発展として、われわれが見出した臨床標本由来の変異型NOTCH1を細胞に導入し、変異型NOTCH1の発現・局在変化、および細胞増殖能力の変化を解析した。また、臨床標本に対し、HRAS遺伝子の変異解析を行った。【結果】タンパク質の発現・局在の解析では、変異型NOTCH1タンパク質の発現は認められたが、細胞膜に局在しにくいことが示された。細胞増殖能力は、変異NOTCH1発現細胞では有意にコントロールに比較して低かった。HRAS遺伝子変異は、84症例中1例と低頻度であった。【結語と展望】臨床標本より発見されたNOTCH1リガンド結合領域の変異は、細胞膜上のタンパク質局在が不安定であると解釈された。また、変異型NOTCH1発現細胞は増殖能力が野生型NOTCH1発現細胞より低いものが多かった。現在、NOTCH1とHRASの関係を明らかにするために、HRAS遺伝子改変マウスの作製にとりかかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究計画初年度で予定していた臨床標本に対する解析が順調に遂行されている。 また、分子レベルでの解析も順調に進んでおり、予定していた安定発細胞も構築できた。ヒト変異HRAS発現マウスも、エレクトロぽレーションを用いた最新の技術を応用することで開始されている。以上より、おおむね計画通りの進捗と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型・変異型NOTCH1発現細胞を用いたIn vitroの実験は順調に進んでいる。しかしながら、諸外国の報告に比較して、HRAS変異が日本人口腔扁平上皮癌で低頻度であった。今後、HRASにおいては変異解析だけではなく、臨床標本に対する発現解析を進めることで、NOTCH1とRas経路の関連を解明していく予定である。
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Causes of Carryover |
HRAS遺伝子解析で変異の頻度が低かったため、初年度には大規模遺伝子解析は行わない方向とした。次年度以降にマイクロアレイを使用して、大規模発現解析を行う予定であり、基金化を行った。また、動物実験はまだマウスの作製の準備段階であり、次年度以降に本格的に開始されるることととなる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイにより、臨床標本の大規模発現解析を行う。 ヒト変異HRAS発現マウスを安定的に得る。エレクトロポレーションにより、皮膚局所的に行う予定であり、マウス1匹ずつの処置が必要であるため、試薬と電極を多量に購入する。
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Research Products
(2 results)