2016 Fiscal Year Research-status Report
NOTCH1およびHRASの機能的変異による口腔扁平上皮癌モデルの作製
Project/Area Number |
15K11302
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
太田 嘉英 東海大学, 医学部, 教授 (60233152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
青山 謙一 東海大学, 医学部, 助教 (10647530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / NOTCH1 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、HRAS変異モデルマウスの作製を行った。Cre-lox-Pシステムによりコンディショナルに変異を惹起する機構とした。エレクトロポレーション法により、Floxedマウスの脇腹皮膚にCre発現遺伝子を導入する実験を行った。現段階では、安定的な手法の確立を目指している段階であり、データの報告にまでは至っていない。 口腔癌標本由来NOTCH1変異の機能解析も引き続き行っている。A465T変異は、細胞膜への局在の低下、活性化NOTCH1の核内局在の低下、下流因子のmRNA発現レベルの低下を示し、経路の活性低下がみられた。また、A465T発現細胞は、細胞増殖能力が低下し、ヌードマウスへの移植実験では生着率がコントロールに比較して低かった。以上の結果を、Oncology Reportsという海外誌に投稿中である。 現在、次世代シークエンサーにより口腔癌臨床標本に対する大規模遺伝子解析を行っている。プレ実験として、申請者らがサンガー法で解析して報告したNOTCH1の変異(青山ら BBRC2014)を陽性コントロールとして上記ライブラリーを用いて腫瘍部を×200・正常部を×100の平均カバレッジ深度になるようにシークエンスした。その結果、正常部に全く認められない1塩基変異が腫瘍部でのみリード数の65%の割合で認められ、P値は 3.4×10-27と非常に高い信頼度のデータを得られた。この結果は非常に純度の高いものであり、同カバレッジ深度でヘテロ接合性の消失(loss of heterozygosity: LOH)も信頼度が高く評価が可能である。本年の日本癌学会で発表予定である。 最終年度も引き続き解析を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子解析およびNOTCH1変異の機能解析については、当初の予定通りに進んでいる。しかしながら、HRAS変異のモデルマウスの解析についてはやや遅れている。その理由としては、エレクトロポレーション法によって導入されるコピー数が安定しないことである。現在、電圧の調整を行っており、手法の確立を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、遺伝子解析およびNOTCH1変異の機能解析については、当初の予定通りに進んでいる。 最終年度には、大規模遺伝子解析を100例程度行い、報告することを目標としており、現在シークエンサーでランする前段階にある。その結果と臨床情報とを統計学的に照合する予定である。また、変異NOTCH1の解析については、現在1変異のみ海外誌に投稿中であるが、他の変異についても発現細胞を樹立している。同様の手法で数変異について解析し、さらに口腔癌におけるNOTCH1変異の意義について解明できると考えている。 HRAS変異モデルマウスについては難渋しているが、条件を設定し、発がん実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
マウス実験において、条件設定に難渋したためマウス購入および飼育費用が予想を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウス実験における条件設定が定まれば、多くのマウスを購入する。購入費用と飼育費用、また導入ベクターのクローニングなどの関連費用が発生するため、使用する。
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Research Products
(4 results)