2016 Fiscal Year Research-status Report
TRPV4を介した術後痛のメカニズム ー何が痛みのトリガーとなるかー
Project/Area Number |
15K11304
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
城戸 幹太 東北大学, 大学病院, 助教 (40343032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 英二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40221577)
安田 真 東北大学, 大学病院, 助教 (70431591)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 術後痛 / PAR-2 / 侵害受容感作 / 浸透圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は我々が行ってきた一連の術後痛の発生機序に関連する研究の1つである。前年度までに、手術侵襲によって生じる肥満細胞からのトリプターゼや好中球からのエラスターゼが、Protease-activated receptor-2(PAR-2)を活性化することによって術後痛を増強すること、またPAR-2のアンタゴニストを術前投与することによって足底切開ラットモデルの術後痛を軽減させることをラット行動評価およびin vitro nerve preparationを用いて検討した。特に、PAR-2活性化後の浸透圧変化が、侵害受容に大きく関与することが分かった。本年度は、PAR-2が活性化すると言われるTRPV4と術後痛との関与について、主にラット術後痛モデルを用いて検討した。1.TRPV4アンタゴニスト前投与による術後浮腫への影響:足底切開前にRN1734またはHC067047を足底投与した群と生理食塩水コントロール群で、アンタゴニスト群における術後の浮腫が軽減した。2.術後創部の浸透圧変化:浮腫の原因に関して、切開後2時間、6時間、12時間、1日、2日の創部の浸透圧を測定した。術後1日で浸透圧はピークを迎え、その値は約500mOsmであった。2日後には正常値まで回復した。3.術後痛に対するアンタゴニストの影響:アンタゴニストの足底部前投与は自発痛、熱刺激、機械刺激それぞれについて痛みを抑制した。以上の結果から、術後は一時的に創部の浸透圧が上昇し、浸透圧センサーであるTRPV4が活性化、炎症反応の増強および疼痛の増強に重要な役割を果たす因子の1つであることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はPAR-2活性化が、さらにTRPV4を活性化させ、術後痛の成立因子の1つとなるかどうかをラット術後痛モデルを用いて検討した。ほぼ予想通りの結果が得られ、次年度さらなる研究の進展を望むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
動物行動評価から得られたデータを元に、今後はin vitro nerve preparation およびパッチクランプ法を用いて、より詳細な術後痛に対するTRPV4の作用機序を解明していく予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会(SFN2016)参加、発表予定であったが、中止したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進展に伴い新たに必要とされる薬剤や器材の購入に充てる。特に新しいTRPV4アンタゴニストや、電気生理学実験に使用する器械が必要となる。
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