2016 Fiscal Year Research-status Report
新規樹立したSnail高発現OSCC細胞株を用いた間葉上皮転換機構の解明
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15K11316
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
久米 健一 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (60650067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 喬之 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (20404501)
吉村 卓也 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (30726758)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (70305150)
小澤 政之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90136854)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 転移 / EMT / MET |
Outline of Annual Research Achievements |
舌扁平上皮癌細胞株であるHSC-4細胞にSnail遺伝子を導入し、Snailを高発現している口腔癌細胞株Snail/HSC-4を作成、ヌードマウスの舌に移植し、腫瘍形成したのちに頸部リンパ節転移をさせ、原発部と転移部に形成された腫瘍を取り出し、それぞれ培養して新たに細胞株を樹立させ、それぞれ発現遺伝子を比較して、それらの発現に差がある分子についてDNAマイクロアレイを用いて検索し、分子標的薬の開発を目的としていた。しかしながら、Snail/HSC-4細胞の舌への腫瘍形成能は認めるものの、頸部リンパ節や遠隔臓器への転移は認められなかった。以前われわれの書いた論文を含め、基礎研究において、Snailを発現している細胞ではinvasion asseyなどを行ったもので細胞遊走能、転移能の上昇が認められる報告が多いが、今回の実験から実際の生体内ではSnailが高発現しているのみでは転移が認められないため、腫瘍形成後に外部からの刺激(例として腫瘍を注射針で突くなど)を与えて転移させやすい状況を作る予定である。これは実際の口腔癌患者では、義歯による創の形成が契機となって腫瘍を形成したのちに、くり返し同部分に外的な機械的刺激が加わることで、より悪性化が見られやすいという経験に基づく。このように新たな実験手順を追加することで、より実際の腫瘍が悪性形質を獲得していく過程に近いモデルを新たに作ることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Snail高発現HSC-4細胞株をヌードマウス舌に移植したが、舌への腫瘍形成は認めるが、遠隔臓器への転移は認められなかった。そこで導入した遺伝子がきちんと働いているかを検証する必要があるため、これらの検索を行い、現在導入遺伝子については問題ないことを確認している
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究においては、Snailが細胞接着因子であるE-カドヘリンの発現を低下させ、migration assey,invasion asseyにて遊走能、浸潤能の上昇が認められる報告が多い。しかし、より実際の生体では癌細胞が転移を起こす際に、Snailとは別に新たな因子が必要であることが予想される。そこで、腫瘍形成後に、実際の口腔内に見られるように、腫瘍部に注射針で刺激を加え、より悪性化しやすい環境を与え、転移が見られた際にはこれらをマイクロアレイ分析にて詳細に、転移にかかわる因子の検索を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
原発に形成された腫瘍と転移部に形成された腫瘍についてこれらの発現因子を網羅的に解析するため、DNAマイクロアレイを行う予定であったが、転移巣の腫瘍発現が認められなかったためマイクロアレイを行う分の費用が残ってしまったと考えられる
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述した新たな実験手順を追加し、転移巣の形成が認められれば、当初の予定通り、DNAマイクロアレイを行う予定である。
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