2016 Fiscal Year Research-status Report
智歯抜歯時に生じた舌神経障害の疼痛を抑制する手技開発
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15K11318
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
藤田 茂之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50228996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木賀 紀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20625397)
東條 格 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70405439)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 断端神経腫 / 神経損傷 / 神経再生 / 神経性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
舌神経は下顎埋伏智歯抜歯の舌側を走行しており、下顎埋伏智歯抜歯時に舌神経を損傷することがある。軸索損傷のみの症例であれば経過観察で様子を見る場合もあるが、神経上膜か軸索までにいたる難治症例では、外科的処置を行う必要のある。外科的舌神経吻合術を施行した際に、断裂または損傷した舌神経の中枢側断端に神経腫を認めることがあり、神経吻合術の際に同時に摘出する。長期間放置された舌神経損傷部位は神経端に著しい変性・断端神経腫の形成・再生機構が生じる。そういった症例では、舌の感覚が全くなくなったり、allodyniaやTinel徴候といった異痛感覚が生じ、長期間にわたって患者を苦しめることになる。 今回、我々は、2013年から2017年にかけて舌神経吻合術を施行した患者の、中枢側断端から採取された断端神経腫と損傷部位の組織を用いて、シュワン細胞の増殖や軸索線維の伸長といった神経再生機構に関与する因子やタンパク質を同定・染色・解析し、神経再生機構に働く病態を解明している。また摘出した断端神経腫から神経端の変性の程度や組織学的変化・神経再生機構に働く因子の増減について、初診時・術後6か月・12か月・24カ月時に味覚検査・知覚検査・異痛感覚の有無といった舌神経感覚の評価を行い、回復の程度と比較し、治療予後に関連する因子を分析している。また断端神経腫や損傷周囲の瘢痕から神経障害性疼痛の発生因子についても着目し、異痛感覚の軽減やさらなる神経機能の回復を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摘出した断端神経腫をマイクロアレイで解析し、正常な舌神経と比較し、発現増加する遺伝子を探索し、パスウェイ解析で神経再生機構に働く因子を抽出し、免疫組織学的染色を行った。 また、各舌神経損傷症例の臨床評価を集積し、治療予後との関連性について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
摘出した断端神経腫を半分に切除し、一部からRNAを抽出、一部をパラフィン固定する。現在、摘出した標本を用いて染色を行い組織学的評価を行っている。 さらに、組織学的評価だけでなく、抽出したRNAを用いて、ウェスタンプロットやPCRを用いて、定量解析を行い評価していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度は、研究内容を十分に見直し、摘出された組織をさまざまな方法で染色し、マイクロアレイとパスウェイ解析でえられた神経再生に関与する蛋白質を多数解析し、データの集積につとめた。次年度はデータをまとめ、論文作成や学会発表に費用が掛かる研究内容であったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイで集積した数値をもとにパスウェイ解析でデータをまとめ、蛋白質の定量と組織染色をひきつづき行う。得られたデータをまとめ、論文作成や学会発表に使用するための費用。
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Research Products
(6 results)