2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11319
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
矢田 直美 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (60468022)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / サイトカイン / 口腔扁平苔癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】口腔扁平苔癬(oral lichen planus; OLP)は、口腔粘膜に角化異常を伴う慢性炎症性疾患であり、基底膜直下へのT細胞を主体としたリンパ球浸潤を特徴とする。OLPは数%で癌化が見られ、WHOでは口腔前癌状態に分類されている。近年、加齢や慢性炎症がDNAメチル化異常の誘発に関与し、癌化を引き起こしていると考えられている。本研究の目的は、OLPにおける、DNAメチル化異常を検索し、OLPのDNAメチル化異常の癌化への関与と予測因子になりうるかを検討する。 【対象と方法】OLP、口腔上皮内腫瘍(上皮性異形成、上皮内癌)、扁平上皮癌、扁平上皮過形成のパラフィン切片よりDNAとRNAを抽出した。DNAにbisulfite処理を行いIL-6、 INF-γサイトカインのプロモーター領域から作成したプライマーでmethylation-specific PCR (MS-PCR)を行った。total RNAを抽出し、cDNAへ変換し、各サイトカインプライマー(IL-6、 INF-γ)について、real-time PCR法により発現を定量した。上記サイトカインのプロモーター領域について、有意な結果が得られなかったため、サイトカイン発現に関与しているサイトカインシグナル抑制因子であるSOCS-1(Suppressor of cytokine signaling-1)について、メチル化の検索を行った。 【結果】OLP、口腔上皮内腫瘍(上皮性異形成、上皮内癌)、扁平上皮癌、扁平上皮過形成の間で、IL-6、 INF-γのメチル化と発現量に有意な差は見られなかった。SOCS-1 DNAメチル化はOLP 28例中20例(71.4%)、口腔上皮内腫瘍24例中4例 (28.6%)、扁平上皮癌は扁平上皮過形成9例中2例(22.2%)、扁平上皮癌10例中8例(80.0%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サイトカインIL-6、 INF-γのプロモーター領域についてのメチル化とreal-time PCR法により昨年より検体数を増し、検索を行ったが口腔扁平苔癬と扁平上皮癌との間に優位に差が見られなかった。サイトカインの発現に関与するSOCS1についてプロモーター領域のメチル化検索を行い、OLPと扁平上皮癌でではメチル化が高率に起こっているが、上皮内腫瘍ではメチル化が低率であった。現在この理由について、他の因子との兼ね合いがないか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
SOCS1のDNAメチル化がOLPと扁平上皮癌で高率に見られ、上皮内腫瘍で低率であったため、その理由について現在検索中である。DNAの検出の精度をあげ、さらなる検討を行う予定である。
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