2016 Fiscal Year Research-status Report
口腔顔面領域のガン性疼痛におけるエンドセリンの役割とその治療法
Project/Area Number |
15K11320
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
原野 望 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50423976)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40316154)
人見 涼露 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70548924)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ET-1 / 口内炎 / ガン性疼痛 / ボセンタン / BQ-123 / BQ-788 |
Outline of Annual Research Achievements |
口内炎は不良補綴物や食事時の咬傷の原因、抗癌剤の副作用として発症するが、その痛みにより患者のQOLの低下を招く。しかし、口内炎疼痛発症機序については不明な点が多い。本年は、疼痛との関与が報告されているエンドセリン‐1(ET-1)と口内炎疼痛との関係を調べるために口内炎モデルラットを用いて実験を行った。 前回と同様に酢酸誘発口内炎モデルを作成後、口内炎部組織におけるET-1の発現を免疫組織学的手法とELISAにて解析した。また、好気・嫌気性下にて口内炎部組織の細菌コロニー数を評価した。さらに抗菌薬処置後のET-1濃度の変化と細菌コロニー数の変化を評価した。次に、ET-1受容体(ETA/ETB)拮抗薬を用いて自発ラビング時間(自発痛の指標)および機械逃避閾値(接触痛の指標)を測定することで口内炎疼痛へのET-1の関与を評価した。疼痛評価は、ETA/ETB拮抗薬であるボセンタンの尾静脈投与、ETA拮抗薬のBQ-123またはETB受容体拮抗薬BQ-788の局所塗布の1時間後に行った。 酢酸処理2日後において潰瘍を伴う口内炎が発症し明らかな腫脹を認めた。また、潰瘍部位を中心にET-1の発現が認められ、ET-1濃度も2日目をピークに増加していた。口内炎部組織の好気・嫌気性菌はともに増加し、抗菌薬によってET-1濃度、細菌数ともに有意に抑制した。さらに、2日目に認められた自発痛は、ボセンタン投与およびBQ-788塗布後に抑制した。 以上の結果より、口内炎部位への細菌感染によりET-1産生が促進し、ETBを介して自発痛が発症し、ETAおよびETBを介して接触痛が引き起こされる可能性が示唆された。これらの結果は、口腔顔面領域のガン性疼痛や抗癌剤による口内炎の複合的な痛みにおける病態解明の一助となることが考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔顔面領域のガン性疼痛の病態は複雑であるため、モデルを口内炎に変更して研究を続けている。しかし、ET-1は口内炎にどのように関連しているのかが判明してきており、これらの結果はガン性疼痛におけるET-1とその治療法に有効に生かすことができると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、一般的な口内炎のみならず、難治性の潰瘍性口内炎に対しても研究を展開していく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度の研究が、昨年度の研究内容と類似していたため、その使用が消耗品に限局していた。次年度は備品等を購入する必要があると考える。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、潰瘍性口内炎ならびに癌性疼痛におけるET-1の役割、ならびにET-1受容体拮抗薬を用いた治療法の検討を行っていくため、大規模な調査になると考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] Prostanoid-dependent spontaneous pain and PAR2-dependent mechanical allodynia following oral mucosal trauma: Involvement of TRPV1, TRPA1, and TRPV42017
Author(s)
Misa Ito, Kentaro Ono, Suzuro Hitomi, Tomotaka Nodai, Teppei Sago, Kiichiro Yamaguchi, Nozomu Harano, Kaori Gunjigake, Ryuji Hosokawa, Tatsuo Kawamoto and Kiyotoshi Inenaga
-
Journal Title
Molecular Pain
Volume: 13
Pages: 1-17
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Distinct TRPV1- and TRPA1-based mechanisms underlying enhancement of oral ulcerative mucositis-induced pain by 5-fluorouracil2016
Author(s)
Yamaguchi K, Ono K, Hitomi S, Ito M, Nodai T, Goto T, Harano N, Watanabe S, Inoue H, Miyano K, Uezono Y, Matoba M, Inenaga K
-
Journal Title
PAIN
Volume: 157
Pages: 1004-1020
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant