2015 Fiscal Year Research-status Report
顎顔面再建治療へ向けた上皮-間葉ハイブリッド型細胞シートの移植検証プロジェクト
Project/Area Number |
15K11322
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
阿部 伸一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40256300)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋シート / 積層細胞シート / デスミン / ミオシン / 中間径フィラメント / 口腔粘膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口腔、咽頭粘膜実質再生を実現するために、口腔粘膜上皮、口腔粘膜上皮下組織、筋組織から抽出された細胞を用いてそれぞれの細胞シートを作製し、それらを積層したハイブリッド型細胞シートの創製し、移植した後の治癒過程を詳細に観察することを目的とする。さらに積層シートの構造維持に必須な細胞骨格である中間径フィラメント、接着タンパクの局在について検証を行う。マウス口腔(頰)粘膜採取には、マウスを東京歯科大学動物実験指針に基づき深麻酔にて無痛屠殺後、頰部より粘膜を5mm程度深部まで摘出した。その後、酵素処理により上皮と上皮下組織に分離した。上皮細胞はフィブリンをコートしたインサート上に播種し、MMC処理済み3T3フィーダー細胞と2週間共培養を行った。さらに、Air-lift cultureを1週間行った。同条件で作製した細胞シートについて、表面構造が敷石状であること、HE染色像から層構造が形成されていることを必ず確認し、目的である口腔粘膜上皮細胞シートとした。口腔粘膜上皮下組織から分離した細胞を直接インサート上に播種し48時間培養を行い、結合組織細胞シートを作製した。同様に骨格筋細胞シートはフィーダーやフィブリンを使用せず、インサート上に直接胎生期マウス咬筋より採取した筋芽細胞を播種後36時間培養し、骨格筋細胞シートを作製した。さらにマウス頰部への積層シート移植実験として、麻酔下でラビット頬粘膜部に実質欠損を形成後、直ちに作製した積層細胞シートを移植する。経時的にラビットを屠殺後、移植部位を周囲組織と一塊として摘出し、形態観察および各種タンパクの発現を免疫組織化学的染色により明らかにし、作成した積層シートが周囲組織と同化している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積層シートの作製は、特に手技も熟練し問題がない。特に上皮シートに関しては、再現性もよく、研究は順調に進んでいると判断する。また次の層の結合組織シートの部分は、未分化間葉系細胞をシートに入れることで筋シートを活性させる可能性が出てきた。すなわちフィーダー細胞として機能している可能性があり、研究の新しい方向性も見えてきたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
積層シートの作製は、まだ試行錯誤している。すなわち、筋シートの部分を分化させすぎると、移植した際に周囲組織とどうかしない場合があることが明らかとなった。筋層の部分だけ、少し未分化な状態の積層シートが作成可能か、今年はその点に焦点を絞って研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
海外の学会での発表を予定していたが、公務により出張できなかった。その予定額は消耗品で使用予定であったが、予定に若干到達しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、消耗品の支出が増加すると予想されるため、抗体購入の際の一部にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)