2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11323
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
米原 啓之 日本大学, 歯学部, 教授 (00251299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 和也 日本大学, 歯学部, 教授 (30199567)
生木 俊輔 日本大学, 歯学部, 講師 (70386077)
真下 貴之 日本大学, 歯学部, 非常勤医員 (30736450)
岩田 潤 日本大学, 歯学部, 助教 (20757629)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨再建 / 再生骨 / 癌患者 / 骨膜 / 骨形成 / 軟骨 / 骨髄幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在顎骨再建は血管柄付き骨移植など各種方法が行われている。この中で再建法として腸骨海綿骨細片とプレートによる移植術は形態のみならず咬合や咀嚼嚥下など機能的にも有効である。しかしこの方法では海綿骨が大量に必要であり,脂肪髄の多い高齢者では採取が困難で本法による再建が行えない患者も多い。また再生医療技術を用いて体外で組織再生を行い再建する方法も数多く研究されているが,これらの方法では細胞増殖を効率的に行わせるためb-FGFなど各種成長因子が用いられているが,各種成長因子は癌細胞への影響があるため癌患者においては使用が禁忌である。このため現在癌患者では有効な再建方法がないのが現状である。 本研究では骨・軟骨膜の骨形成能と非培養生体内組織および安全性の担保された人工材料を用いて,癌患者において用いることの可能な再建材料を開発することを目的としている。 平成27年度においては,「血管柄付き下腿骨膜における骨新生量の観察」および「骨膜からの骨形成過程に発現する骨形成関連遺伝子の分析」によりまず骨膜からの骨形成過程を検討した。その結果,移植材料として用いることが可能な再生骨として,骨膜からの骨再生は7日目において移植に適応した骨が得られることが確認された。 平成28年度においては,下顎骨に作成した骨欠損部分に対してこの再生骨を移植して骨欠損部分の修復が可能化について検討を行った。その結果,骨欠損部への再生骨移植により良好な骨修復が得られた。また,骨再建材料として,軟骨についても検討を行っており,現時点では軟骨が移植後に骨へと変化していく過程について検討を行っている。更に,骨髄より得られた骨髄幹細胞を骨欠損部分へ移植することにより,骨欠損部分が修復する過程についても,再生骨および軟骨と同様に検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の「血管柄付き骨膜における骨新生量の検討」および「骨膜からの骨形成過程に発現する細胞および関連因子に対する分析」の研究結果をふまえ,28年度では,血管柄付き骨膜移植のモデル腓骨の血管柄付き骨膜を用いて、その骨膜より再生された再生骨を細片骨として,下顎骨に作成した骨欠損部分に移植する実験を行い,再生骨において良好な骨修復が見られることを証明した。現在,同様に当初予定していた「軟骨細胞の骨再生に対する影響の検討」および「骨髄幹細胞の骨再生に対する影響の検討」 の研究として,軟骨および下肢の長管骨より得られる骨髄幹細胞についてもその骨修復能力について検討を行っている。 27年度に計画していた「足場素材としての人工材料の検討」については,足場素材を用いることなく骨膜からの骨再生により移植骨量が確保できたため,当初の計画を変更して骨欠損部への再生骨や軟骨など移植時に足場素材を同時に移植することにより,その有効性を検討する方法に計画を変更している。 また,平成28年度に予定していた「線維芽細胞の骨再生に対する影響の検討」については,計画がやや遅れており次年度においても継続して研究を行う必要が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の研究計画において計画に遅れが生じていた「軟骨細胞の骨再生に対する影響の検討」および28年度より研究を行っている「骨髄幹細胞の骨再生に対する影響の検討」については,最終的な研究結果が得られるよう,本年度も継続して研究を行う。また研究の遅れが生じている,「線維芽細胞の骨再生に対する影響の検討」については,29年度において研究を行うようにする。 27年度に計画していた「足場素材としての人工材料の検討」については,足場素材を用いることなく骨膜からの骨再生により移植骨量が確保できたため,当初の計画を変更して骨欠損部への再生骨や軟骨など移植時に足場素材を同時に移植することにより,その有効性を検討する方法に計画を変更している。このため,骨欠損部への骨移植を行う際に足場素材の検討も追加項目として行うようにする。 また当初28年度に予定していた研究である「再生骨の移植後の変化の検討」については,既に現在までの再生骨移植実験により,移植後にも安定した状態が保たれている結果が得られており,今後は賦形性や力学的強度の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度および本年度で行う予定であった人工材料を用いる研究を最終年度に行う予定としたため,人工材料の購入費に対する支出が残額として残ったため,次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の研究計画において前年度までに行われる研究で使用する予定であった人工骨などの人工材料が,予定年度に購入されなかったために次年度使用額が生じてしまっているが,人工材料を用いる研究については,再生骨や軟骨の移植材料としての安定性が確立できた本年度に研究を行う予定で有る。このため,次年度使用額については本年度行う足場素材としての人工材料の検討の研究で人工材料の購入などで使用する。
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