2016 Fiscal Year Research-status Report
気管支平滑筋における静脈麻酔薬のインフラマソーム抑制作用
Project/Area Number |
15K11325
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松本 裕子 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50221594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 鉱 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70130523)
山口 秀紀 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (50220273)
小宮 正道 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (40186812)
小野 眞紀子 (池田眞紀子) 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (00267113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 静脈麻酔薬 / プロポフォール / MAP Kinase / ATF-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患の既往を持った患者の周術期呼吸管理を行うにあたり,それらの患者に対する静脈麻酔薬の影響を検討することは,静脈麻酔薬の適正かつ有効な使用に貢献するものと思われる。本研究では,静脈麻酔薬 プロポフォールの呼吸器系組織における抗炎症・免疫作用および抗アポトーシス作用のメカニズムについて解明するため,ヒト肺由来線維芽細胞(MRC-5 cell)を用いて情報伝達経路の調節に対するプロポフォールの影響について検討した。MRC-5 cellにおいてプロポフォールはHydrogen Peroxide(H2O2)によるATF-2のリン酸化を抑制したが,nuclear factor-kappa B (NF-κB)のリン酸化やcaspase-1の誘導には影響を与えなかった。プロポフォールはヒト肺由来上皮細胞においてLipopolysaccharide (LPS)やH2O2によるextracellular signal-regulated protein kinase(Erk)1/2,p38 mitogen-activated protein kinase(MAPK)およびStress-activated protein kinase/c-Jun NH2-terminalkinase (SAPK/JNK)のリン酸化を抑制することによってATF-2やc-Junのリン酸化を抑制することから,肺由来上皮細胞と線維芽細胞,いずれにおいてもATF-2のリン酸化抑制がプロポフォールの抗炎症・抗アポトーシス作用に重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はプロポフォールがヒト肺由来上皮細胞と線維芽細胞,いずれにおいてもATF-2のリン酸化を抑制することによって抗炎症・抗アポトーシス作用を示すことが示唆された。今後,上皮細胞と線維芽細胞のインターラクションについて検討する上で,本知見は重要なものであり,一定の成果を上げられたと思われる。したがって,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
肺,気管または気管支平滑筋由来細胞を用いて,LPS,H2O2およびIL-1によって誘導されるインフラマソーム(NLRP1,NLRP3,pro-IL-1)に対するプロポフォールの影響について検討する。さらに,その下流にあるcaspase-1の発現と活性について検討することによって,静脈麻酔薬の抗炎症・免疫作用のメカニズムを探る。
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Causes of Carryover |
本年度に購入を予定していたHuman Inflammasomes RT Profiler PCR Arrayの入手に時間がかかったため,当該予算を翌年度分に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度予定していたHuman Inflammasomes RT Profiler PCR Arrayの購入代に当てる。PCR Arrayを用いて Human Inflammasomesに関連する遺伝子の発現に対する静脈麻酔薬の影響について検討する。PCR Arrayは一度に84種の遺伝子についてプロファイリングすることが可能であり、本研究が一気に進展することが期待できる。
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