2016 Fiscal Year Research-status Report
チタンアレルギーの病態機序および生体反応に関わる免疫学的研究
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15K11329
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
濱田 良樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70247336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 賢一 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10518129)
鈴木 隆二 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 臨床免疫研究室, 室長 (70373470)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チタンアレルギー / T細胞受容体 / 金属アレルギー / TCR |
Outline of Annual Research Achievements |
チタンは,科学的根拠に基づいた安全性が確立された金属として歯科領域や整形外科領域で広く使用されている. しかし,骨接合を阻害するチタンアレルギー反応の臨床報告が散見されており,その免疫学的解明が急務となっている. 今年度は世界に先駆けてチタンアレルギー動物モデルを確立し,チタンアレルギーに関わる T 細胞受容体遺伝子(TCR)による獲得免疫機構に主眼を置いた研究を行った. チタン特異的 T 細胞由来 TCR の機能および性状解析チタンによる生体内での影響の解明には,モデル動物を用いた検討が必須であるが, 霊長類でのチタン動物モデルが存在しなかった.昨年度までに,マウスにチタン溶液を感作および誘導させることで,チタンアレルギー発症状態を示す動物モデル系の作製を行った.今年度はアレルギー炎症局所組織へのチタン溶出の含有量の測定と各種サイトカイン・ケモカインの遺伝子発現解析を行った. また, 免疫組織学的検討から T 細胞の性状や機能解析を行って多方面からチタンに対する生体内の獲得免疫機構の解明を行った.その結果,チタンアレルギーマウスの炎症局所に高頻度で特異的なTCR Vα遺伝子を有する自然リンパ球であるNK T細胞およびMAIT細胞が検出された.NK T細胞およびMAIT細胞は自然リンパ球として知られており,自然免疫細胞と獲得免疫細胞の中間的性質を持ち,クローン増殖を介さずに迅速にエフェクター機能を発揮し,自然免疫と獲得免疫の橋渡しを担うユニークな細胞として様々な免疫応答に関与している.本チタンアレルギーモデルマウスにおける解析により, NK T細胞およびMAIT細胞による自然リンパ球がチタンアレルギーの病態発症および免疫制御に関与している可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までにチタンアレルギーモデルマウスの確立, ならびにアレルギー炎症局所組織への各種サイトカイン・ケモカインの遺伝子発現解析を行った. また, 免疫組織学的検討から T 細胞の性状やTCR解析を行って多方面からチタンに対する生体内の獲得免疫機構の解明を行うことで,NK T細胞およびMAIT細胞による自然リンパ球がチタンアレルギーの病態発症および免疫制御に関与している可能性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
チタンイオンに対してどのような特徴を持つ T 細胞がどれくらい誘導され,また, そのうちどの程度の T 細胞が他の金属に交差反応し,増殖するか明らかにしていく.様々な歯科用充填金属との組み合わせを検証し T 細胞/NK T 細胞の増殖や機能および性状の違いを明らかにする.シーケンス解析によって増殖の程度を明らかにするとともに, 同じ試料から限界希釈法による細胞障害性 T リンパ球(CTL)のクローン化を試みる.樹立された CTL 細胞を用いて,抗原特異性,他種金属との交差性あるいは親和性を調べ, チタンイオン特異的 T 細胞の性状や特性を明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
解析するサンプル数が想定よりも少なく,研究試薬および消耗品の購入が予定金額よりも低くなったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TCR解析用の研究試薬に使用する予定である.
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